恋人の愛はちょっと重たい1【名探偵コナン/愛され/逆ハー】

39グラム【降谷Side】 ページ44

Aが、鈴木家と商談する日の正午頃――

僕は昨日飛び込んできた【赤いシャムネコ」再結成の噂を確認すべく奔走していた。

財閥をターゲットにしてテロ活動を行っていた集団で、10年前に首謀者が逮捕されて壊滅したはず。

情報元は、別のテロ組織に潜入している同期からだった。まだ、未確認情報だから上には報告しないが、同期のよしみで……と秘密裏に連絡してくれた。

ここ10年何の活動もしていない組織が急に動き出すということ事態が僕の背筋をゾッとさせる。

例えば――黒の組織を壊滅させたとして、10年後にまた動き出す――なんてことがあったら。

今の努力はなんだったんだ……と、絶望の淵に追いやられてしまいそうだ。

まあでも、名前を継承しただけ――ということもあるからな。
密告してくれた同期のためにも、上に情報が漏れないよう慎重に捜査をすすめなければならず、遅々として進まなかった。

昨日出て行ったきり、赤井の行方もしれないままだ。FBIに聞いても「黒の組織とは関係ない」の一点張り。

今朝がた、毛利探偵から、「蘇芳さんは今日は結構と言われたんですが――本当に大丈夫なんでしょうか？」と連絡があってそちらも頭が痛い。

赤井のことが心配な彼女は何をし始めるか見当がつかない。

しかも、Aは僕よりも多くの情報を手に入れるほどのハッキング技術を持っているはずだ。

加えて、出世速度をみればわかる通り、彼女のコミュニケーション能力は著しく高い。既に人脈を築いているためFBIの関係者から赤井について何かを聞き出すことも可能だろう。

これで、銃の腕は赤井仕込み、加えて、本来警察関係者なら誰もが知っているような捜査の基本のイロハやルールは何も知らないときた。どんな暴走をするのか予測も立てられん。

はぁ、と、重たいため息をぐっと飲みこんで、僕は慎重に話の出所を辿る。どうやらアメリカから関係者が来日するという線もありうるようで――。

だとしたら赤井はこの件で動いているのだろうか？ そうだとしても彼は電話を切っていて連絡がつかないどころか、まったく居所が掴めない。

それとは別に、ここ数日、微生物や細菌を扱う研究所にハッキングの形跡がある――という情報も入っている。

そのうちの1つの現場に直接出向いた帰り、僕はそこで赤井が愛用している煙草の吸殻を見つけてしまった。

40グラム【降谷Side】→←38グラム

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す