恋人の愛はちょっと重たい1【名探偵コナン/愛され/逆ハー】

40グラム【降谷Side】 ページ45

煙草から予測できる場所をすべて見て回れば、たった1か所、新しく枝が折れた痕跡が見つかった。

そこを辿れば2階に上がって事務所に忍び込むことも無理ではない――という場所だ。

2階に上がって確認したが、もちろん窓がこじ開けられた痕跡は見つからなかった。

それでも――念入りにその周りを確認すれば、指紋が1つ。僕はこっそりそれを採取して証拠は消しておいた。

そして、頭を抱える。

世間一般で赤井秀一が生存している証拠はない。

だからその煙草を拾って赤井のものと照合し、DNA鑑定するなんて――普通は無理だ。でも、残念ながらおそらく、僕にはできる。そして、僕にできるという事実を赤井は知っている。

わかりやすい証拠である、煙草の吸殻も歯ブラシも使用済みのゴムも全て破棄しているだろう。指紋はどこまで消しているだろうか――。

それでも、Aの家に行ってあの布団を手に入れれば、汗や唾液やその他の――体液の証拠がまるで残っていないとは思えなかった。

それとも、このタイミングで【偶然にも】布団を全部処分して新しいものと入れ替えているのだろうか。

僕はゴミを拾うていで、煙草の吸殻を拾ってビニールに入れる。

しかし、赤井はヘビースモーカーではあるがひとたび「沖矢昴」に変装すれば何時間も煙草を吸わなくても平気な男でもあった。

つまり、一見重度の喫煙者にしか見えないが、実のところ、喫煙の頻度はいくらでも意識して変えられるのだ。

わざわざ、現場で煙草の吸殻を落としていくなんてミスをおかす男じゃない。

――つまり、これは僕に対する何らかのメッセージなのか？

それとも、赤井は今度は黒の組織とは別の組織に侵入して新たな犯罪に手を染めている――と考えるべきなんだろうか。

これ以上、徹夜続きの頭では考えることができそうにない。

深夜――僕は、事実を確認すべくAの家に向かうことにした。

41グラム→←39グラム【降谷Side】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す