検索窓
今日:4 hit、昨日:44 hit、合計:32,230 hit

敵の敵10―降谷side― ページ44

ピンポンと呼び鈴を押すと、「はーい。ちょっと待ってね」と、女性の声がして驚いた。

門扉を開けたのは、髪の長い綺麗な女性で――。

ああ、彼女が元大女優の工藤有希子かと気が付いたのはすぐだった。

「あら、新しい担当の方?今、優作は執筆中なの。でもせっかくだから上がって行って。お茶くらい入れますわ」と、有希子さんは一方的に畳みかけてきた。

出版社の人だと思われたのか。

「いえ――そういうわけでは。
 あの、ここに沖矢昴って人、いますよね?」

「あらあら。昴君のお客様なんて珍しいわね。お友達?

 今、在宅中かしら? ふらっと出て行ってしまうからよく把握していなくて、ごめんなさいね。確認するから、とりあえずあがってくださらない?」

流れるようにテンポよく話すので、口を挟む隙が無い。

とはいえ、工藤邸に上がるのはチャンスだ。有希子さんに誘われるままに、家に上がる。
広い洋風の家は、内装も豪奢で、さすが大女優と人気作家の自宅、といった風格だ。

しかし、工藤夫妻は今、ロサンゼルスで暮らしているのでは?

とはいえ、家に入れば美味しそうな料理の匂いが漂っていて――。

ここで暮らしているのが、赤井でもAでもない、と考える根拠には十分足りた。

そもそも、あの2人が自宅で夕食なんて作るはずがない。

「噂では、ご夫妻はロスにお住まいなのかと」

「ええ、そうよ。最近の拠点はロス。
 だから、昴君には感謝しているの。

 でも、最近はちょっと色々あって……。行ったり来たりしているわ。上がって行かれるでしょう? 昴君、居るのかしら。この時間ふらりとよく出かけちゃうからわからなくて。ちょっと様子を見てくるわ」

さすがに、玄関から勝手に家の中にあがるのはためらわれた。
玄関は綺麗に片づけられていて、靴の数から在宅人数を確認するのは難しかった。

靴箱を開けてみれば、女性ものの靴がずらりと並んでいる。
紳士物の革靴やスニーカーもあり、誰のものかと把握するのは困難だった。

ただ、僕が記憶している限り、Aが所有している靴はないように見えた。

足音が聞こえたので慌てて靴箱の扉を閉じる。

「昴君、すぐに降りてくるって。上がってくださる? 紅茶くらいお出しできますわ」

「いえ、こちらで十分です」

「あら、そんなに遠慮なさらなくても」

にこりと微笑んで手慣れた手つきでスリッパを並べてくれる。
 

敵の敵11―降谷side―→←敵の敵9―降谷side―



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (41 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
121人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 赤井秀一 , 安室透   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まつり | 作成日時:2022年11月25日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。