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カラオケボックス5 ページ25

「本当は、私に対して頻繁に【嘘が下手】って言ってることも、冗談だよね?」と問えば

「それは願望。俺の前でだけはAには正直でいて欲しいっていう。勝手な願いだから許して欲しい」と、囁いてそっと頭にキスを落とす。

「昨夜、コナン君が、私に向かって『黒の組織を知っているか?』って聞いてきたわ。知らないって答えたけど、コナン君は私が一体何を知っていると思ってるのかな」

「ほお、ボウヤの方からわざわざ……」

「なんでだろうね? もしかして零のこと探ってるのかな?」

「いや、ボウヤはまだそのことは知らないはずだ」

やけに自信たっぷりに沖矢さんが答えた。

「私、【赤井さんが殺された】こと以上の知識はないって前も言ったはずなんだけど……」

「ボウヤの前で何かきっかけになる話でもした?」

「ううん……。いつもと変わらないよ。四人で食事して飲んだだけ。しいて言えば、蘭ちゃんのお母さんが弁護士って知ったから、紹介して欲しいとは頼んだけど……」

「何か弁護士が必要な事態でも?」

「うーん……。まあでも、それは私の仕事の問題だし、理由は詳しく話していないから、あの子には関係ないと思うわ」

「ボウヤのことはさておいて、俺は君の問題の方が気になるな。弁護士が必要な事態って何?」

あ、うっかり、余計な話をしてしまった。

「取締役にならないかってオファーを受けてみようと思って。でも、契約書とかちょっと読み込める自信がないから、弁護士さんにお願いしたいんだよね。

 蘭ちゃんのお母さんは詳しいかどうかわかんないけど、やっぱりこういうのって知ってる人に頼んだ方がいいと思うし。

 零を経由するわけにはいかないし、あなたに頼んでも海外の弁護士さんの方が知り合い多いかなと思ったから」

「取締役? すごいな、それは――。Aが無理していないか心配だ」

とかいうから、驚いて私は顔をあげる。

「なんでもかんでも、私のこと心配しすぎ。

 いっとくけど、あなたと会う前までは零だってこんなに過保護じゃなかったし、私はちゃんと一人でそれなりに生活していたの。

 だいたい、私なんかよりずっと、あなたの方が危険度高いんだからね?」

一般社会で暮らす、一般市民ですよ、私は。

偽装死中のFBIや危険な組織に潜入している公安警察よりずっと、平和な世界で暮らしています。



――だからそんなに心配そうな瞳で私を見つめなくても構わないのに。

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作者名:まつり | 作成日時:2022年11月8日 10時

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