call a spade a spade3ーthird person― ページ35
キッドは、沖矢の構えた拳銃が自分の胸元にまっすぐ向けられていることなど、歯牙にもかけない様子だ。
Aのスマホは、園子の姿で接触したときに、キッドが素早く電源を切っていた。運転中の沖矢(赤井)が何度かけてもつながらないはずだ。
そのスマホは、先ほど沖矢の放った銃弾を受け、無残な姿で廊下に転がっている。
「あなたにとっては僕みたいなコソドロを追いかけても何の意味もないでしょう? 彼女の安否の方が気になるんじゃないですか?」
軽口を叩きながらも、キッドは決してその視線を沖矢から外さない。沖矢の銃の腕がずば抜けていることは、最初の一発でよくわかったためだ。
とはいえ、このまま膠着状態が続けば、今宵のShow(盗み)の開始時間が遅れてしまう。名探偵の目が覚めないとも限らない。
おもむろにキッドは冷淡な表情を浮かべると、眠り込んでいるAに銃を向けた。
それを沖矢が気にしてほんの一瞬視線を逸らした刹那、
「It's show time!」
怪盗キッドはそういうと、ぱちりと指を鳴らし白いマントを翻す。直後、沖矢がAの元に駆け寄った時には煙のようにその姿をくらましていた。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年5月19日 15時