Sherlock Holmes―赤井side― ページ32
「お前たち、まさか知らないのか? 大英帝国が誇る英雄だぞ?」
ホームズのこととなると黙っていられずに、俺はやむなく振り向いた。
ここは、シャーロキアンの実に面倒なところだ、と自覚はしている。
ジョディが怒った顔で言う。
「コナン・ドイルが書いた、フィクション界の名探偵のことなら知ってるわよ。でも今はそういう話をしているんじゃなくて」
「こういうの、得意だろう? 『証人保護プログラム』とは無関係だったことが判明したから後はご自由に、とでも言い捨てておけばいいじゃないか」
悪いが今はゆっくりホームズ談義をしている場合じゃない。
車にAの血液が付着している点は気がかりだった。しかし、今更彼女の血痕からDNAを辿ったところで、警察があの病院に辿り着くかどうかは実に怪しいものだ。
「やっぱり、現場に出ない生活はシュウにはあってないんじゃない?」
「実は何かの暗号か一種のアナグラムなのでは……?」
ジョディとキャメルが、見当違いのことを話しているような気もしたが、それはそれ。
どうでもいいことだ。
俺は現場を二人に任せ、立ち去ることに決めた。
車を走らせながら、何度ボウヤに電話をかけても応答はない。
Aの電話には電源すら入っていない。ほんの数時間前は普通に会話ができたのだから、鈴木美術館が圏外ということなどありえない。
俺は焦る気持ちそのままに、アクセルをいっぱいまで踏み込んだ。
――万が一スピード違反と称してパトカーが追ってきたとしても、振り切る自信はある。
call a spade a spade1ーthird person―→←痕跡10―赤井side―
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作者名:まつり | 作成日時:2022年5月19日 15時