居候生活4―コナンSide― ページ21
突然、蘇芳Aさんが毛利探偵事務所にやってくることになった流れは驚きだった。
安室さん、公安の仕事なんだろうか――。それとも、やはり灰原の勘が正しくて、安室さんは公安でありながら黒づくめの組織にも所属しているのか――?
それなら、面識のある赤井さんがとっくにオレに教えてくれていていいはずだ。
っていうか、赤井さんが組織を抜けた2年前の時点でFBIに伝えておくべき情報なのでは。
いや――でも、赤井さんも一筋縄でいくタイプじゃないよな……。
偽装死を貫かなければならない状態なのに、その姿で一早く恋人と接触している。しかもその恋人には現在(もしくは赤井さんの生存中から)、公安に勤めてもしかしたら組織にも所属しているかもしれない彼氏(安室)がいる。
一方で、恋人に対して赤井さんは自分の正体(沖矢昴が赤井秀一の変装であること)を明かしているというわけではなさそうだ。
別人としてわざわざ会っていったいどうしたいというのだ――。変装技術の高さでもかみしめてるの?
わけがわからない。
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さらに、そんな2人とそれぞれ付き合っている蘇芳Aって何者だよ?怖すぎない?
しかし、本人を見ても美人でスタイルがよく人当たりがよくて魅力的ではあるが、いたって普通の会社員のように見える――。何かを企んでいるようには見えないし、灰原の懐き方を見てもとても、黒の組織の関係者だとは思えなかった。
――ってか、バーボンって誰なんだよ――
「工藤? もうちっと頭を整理してから電話してくれんと全然わからんわ。
この電話でわかったことゆーたら、お前の家に行けばAさんといつでもあえるっちゅーことくらいやで?」
深夜、電話の向こうでオレのとりとめのない会話を聞かされている服部が呆れた声を出した。
Aさんは蘭と一緒に部屋で楽しそうに何かを話している。
そこにオレが混ざるわけにもいかず、おっちゃんもいないとなれば、服部に電話をして頭を整理することくらいしかなかった。
しかし、赤井さんの生存を伝えるわけにもいかないし、大人三人のよくわからない恋愛模様を伝えることもできないので、服部に話せる話はごくわずかだ。
「だなー、別にいつでも会えるってわけでもねーぜ? 平日は仕事で忙しいだろうから毎晩ここに来るわけでもねーだろうし。勝手にこっちにくるなよ?」
一応、釘を刺しておく。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年10月6日 10時