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ハッキング犯3 ページ19

「あら、こんなところでどうしたの?」

会社から一歩出たところで声をかけてくれたのは、金曜日に飲み屋で見かけた赤井さんの同僚と言う、金髪ショートと眼鏡がお似合いの綺麗なおねーさんだった。ジョディさんだったっけ?

「ちょっとしたもめごとです……」私は英語で伝える。イギリス訛りなのは許して欲しい。

「ええ? シュウがもめごと?」

唐突に、女性の目が喜びで輝いた。
おねーさん、喜ぶ要素はありませんよ?

「それって、もめごとができるくらい会話しているってことよね?
 滅多に言葉を交わさないので本当に心配していたの。
 会話が交わせるなんて良い傾向よ!

 良かったら、ホテルの部屋でも提供しようかしら」

確かに隣のカフェに行ったところでこのもめごとは迷惑至極に違いない。

「是非、お願いします」



話がつきそうなので、私は安室さんと赤井さんを見上げて言う。

「安室さんは仕事に戻った方が良いのでは? 私は赤井さんにどうしても伝えたいことがあるので」

安室さんは、はあ、とため息をつく。
どうやら英語の聞き取りに難はないようだ。


「君と赤井を二人きりになんてできるはずもない――しかも、ホテルなんて!ふしだらな」

私と赤井さんに対する信用度ゼロだった――。

いくら私でも、仕事中に昼間からは何もしないよ?信じて?

「話し合いをするだけです。別にここで言ってもいいですけど。
 赤井さん、うちの会社のサーバーにハッキング仕掛けていません?」

ああ、と赤井さんは口角をあげる。

「知りたい情報に辿り着きたいだけだ」

一切悪気も悪意もなくて怖い。

「私、朝からずっとそれを防ぐためにプログラミング組みなおしていて仕事にならないんです。やめてもらってもいいですか?
 このままだと、一緒に夕食食べられませんよ?」

赤井さんは煙草を一口吸って吐き出す間思案し――

「そうか、君だったのか。なかなかいい腕だ」と、斜め上の返事をしてきた。

ここで褒められても嬉しくはない。

「もうやめるって言って」

「――了解」

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まつり(プロフ) - タタリさん» タタリさん、ありがとうございます。 (1月26日 8時) (レス) id: 91a8359b9e (このIDを非表示/違反報告)
タタリ(プロフ) - 面白いです!赤井さん降谷さんコンビ最高! (1月25日 23時) (レス) @page22 id: 3b67077e0b (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - ハロさん» ご指摘ありがとうございます。ここでは代理できており、時間がないため説明の手間を省こうと偽っている設定です。本編に説明文を加えておきますね。 (5月18日 17時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
ハロ - 風見は警察庁では無く警視庁ですよ (5月18日 16時) (レス) id: 39e5bd607a (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - ゆーちゃんさん» 嬉しいです。ありがとうございます! (2023年3月2日 16時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まつり | 作成日時:2022年9月1日 8時

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