jealousy12 ページ3
「……そっか……」
そんな発想全くなくて。
銃に対してずっと抱いていた負の感情が、それを想うたびに張り詰めてしまう緊張とともに抜けていく。
私がふらっと気が抜けるように倒れこむのは、昴さんの予想の範囲内だったのかもしれない。
倒れこむ前にぎゅうと広い胸の中に抱き寄せられた。
暑いのは、夕方なのにまだまだ気温の差がらない体温のせいなのか、腕の中に閉じ込められたせいなのか、判別できない。
言われてみれば、拳銃なんてアメリカのFBIはもちろんのこと、日本でさえ正義の味方である警察官が持っているんだから、必ずしも「悪い道具」と決めつける必要はないわけだ。
「だからといって、Aが無理にそう思う必要はない。
いつも、ひどく思いつめた顔をするから誤解が解ければと思っていたが――。
こんなところで話さない方が良かったな。
いつもみたいに抱えようか? 落ち着くための、キスでもする?」
「昴さん待って、ダメ。ちょっとだけこうしてくれてたら、多分、落ち着くし大丈夫だから。キスもしないっ」
俺はいっこうに構わないから遠慮しなくていいのに、と、私の背中を撫でながらくつくつと笑うので、一瞬、ここがそれなりに人通りのある路上であることを忘れてしまいそうになる。
都心の人ごみの中でも周囲の視線を一切気にせず、キスも交わすし、お姫様抱っこで抱えようとするのは――やっぱり私の妄想じゃなくて推理の結果であってたみたい。
「そうですか? 残念です」
昴さんは、口調を戻し本気とも冗談ともとれない感じでそう言うと――
「やっぱり、日暮れまでにアレを捕まえてもらった方がいいんでしょうね。さてどうしたものか――」と、ひどくのんびりと付け加えた。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年8月1日 15時