jealousy13—沖矢side― ページ4
夕食にはまだ早い時間帯。
俺は、絶対に抱き上げたら嫌だと言い張るAとともに、近くのカフェへと足を運んだ。
路上に面したカフェで、窓際に座れば行きかう人が目に入る。
それにしても、あれほど火薬と血の匂いのした男が複数人街をうろついているのに、公安がどうして検挙できないのか理解に苦しむ。
――検挙できていないと判断しているのは、公安らしき人物が何名も監視するかのごとく歩いているのがいまだに目につくからだ。
あれほど目につくと犯人も警戒するから逆効果だとしか思えないのだが。
表面上平和な街では、それに相応しい解決方法があるのではないだろうか。
まあ、そんな助言ができる立場でもない。
仮にしたところで、多分迷惑がられるのがおちだ。
とはいえ、この情報をどこからどう流せばいいものか――
わざわざ、ややこしい手続きを踏んでビューロー(FBI)を通すほどの案件とは思えない。
個人的に連絡するのも不自然極まりない。
先月(ちょうど工藤夫妻が帰国していた時期なのでAは事の顛末を知る由もないが)ようやく、米花百貨店に出没していた偽物の赤井秀一も姿を消したというのに、これがきっかけで、再び彼から俺の正体を勘ぐられるようになるのも面倒だ。
そもそも、日本の警察も公安も優秀だからそろそろ自力で解決できるのでは?
Aさえ、すれ違うたびに降谷君に気になる視線を送らなければスルーしてもいいんだけどな――。
煮え切らない思いで試行を巡らせていると、
「昴さん、疲れた?」
アールグレイを淹れたカップ片手に、Aから心配そうな視線を送られた。
「いいえ、全く――ああ、レストラン、当日ですが予約とれましたよ」
事前に情報を集め、コネクションを作り手を回すのは得意な方だ。
「ええ、人気店なのに?」
「こういうのはほら、当日キャンセルとか出るじゃないですか。タイミングが良くて助かりました。後1時間です」
嬉しい、すごく楽しみ、と笑顔になる彼女が本当に愛しい。
このまま、平穏無事に一日が終わってほしい――
というささやかな願いを切り裂くかのように、路上から「パン」と乾いた銃声が響いた。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年8月1日 15時