unmask6 ページ28
洗面台に映る昴さんを盗み見ると、鏡越しに視線が合ってふわりと甘く微笑むからドキッとして視線を逸らす。
――私の髪を乾かしている昴さんの表情を盗み見たいだけなのに。
2度、3度試してみてもすぐに視線が絡む。
「Aさん、飽きました? それとも、邪魔しています?」
くすくす笑いながらそう聞かれる。
「ちが……。私が見ていたいだけだから、昴さんはこっち見なくていいの!」
「それは難しいことを」
乾かし終えた私の髪の毛を持ち上げてキスすると、ぎゅっと背後から抱きしめられた。
「心配しなくていいですよ。あなたの背後は私が守ります」
そんなのだめとか、じゃああなたの背中は誰が守るのとか、もっときちんと寝て欲しいとか、他にやることが山積みなのに――? とか。
言いたいことはいっぱいあったけれど、あまりにも優しい声で囁くようにそういうから、あの背後に感じていた張り付くような緊張感や恐怖心が一瞬にしてとけていってしまった。
そのせいで、「ありがとう」という以外の言葉が出てこない。昴さんが、私の背後に自然に立つためだけに時間をかけて髪を乾かしてくれたのかと思うと、胸がいっぱいになった。
その後は、もはや朝まで眠るつもりもなくなったので朝食と呼んでいいのか夜食と呼んでいいのかネーミングに困る食事を、お酒片手につまんでみる。
冷凍していたフルーツを白ワインに入れて炭酸水を注いでみたりして、適当に思い付きで飲む家飲みも悪くないな、なんて思いながら。
昴さんは当然のように、放っておくとバーボンしか飲まないので、これ食べて、あれ食べて、とすすめ続けなければならない。
本当――こんなに食生活適当でよくそんな体保っていられるよねと不思議になるレベルだ。
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まつり(プロフ) - かるぴんさん» かるぴんさん、はじめまして。長々と続いていてすみません。はい、続きも書きますねー。まだ、いつ終わるかもわかりませんが引き続きお付き合いいただければ嬉しいです。 (2022年7月8日 20時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 引き込まれる文章であっという間にここまで読みました!とても面白いです!大変だとは思いますが、続きを心待ちにしています!お体に気をつけてください! (2022年7月8日 19時) (レス) @page16 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつり | 作成日時:2022年7月7日 9時