Eternal Sweet1 ページ6
「――やっぱり、赤井さんなんだね」
コナン君は、秀一に向かって憤りが隠せない様子でそう言った。
「部屋の中でどんな姿で過ごそうが、自由だろう?」
タバコをくわえていた秀一は、視線をそらし肩をすくめた。
「この一週間、赤井さんの様子が変だってジョディ先生が言うから――」
「そもそも俺は死んでいるんだ。
そうやみくもに頼られても困る。それともこの国では小泉八雲の小説さながらにゴーストが活躍するものなのか?」
普段私に向ける甘い口調とはまるで違う。氷のように冷たい口調はおよそ小さな子供に向けるようなセリフではなかった。
「でも、つい最近までは――」
少年の方も顔色を変えないどころか、噛みついていくのだから感心する。
「事情が変わった、それだけのことだよ、ボウヤ。俺にだって優先順位をつけておきたいことの1つや2つ、あったって不思議じゃないだろう?」
「でも、現実的じゃないよ!
Aさんが退院して1週間、家から一歩も出てないって先生言ってた。
いつまでこうしているつもり?」
「時が満ちるまで。今までだってそうしてきたじゃないか。
動きがあればいつでも――」
2人が何の話をしているのかよくわからない。
秀一が「死んでいる」と言っていることも理解できない。
それでもきっと、この1週間で秀一の様子が変わったというならそれは私のせいだ。
「私、コナン君と一緒にお出かけしてきてもいい? それなら秀一も安心でしょ?」
秀一の顔色が変わる。
――そうやってすごく不安そうに私を見つめる人が記憶をよぎる。彼は眼鏡が似合う人だった――
記憶をたどれば、確かに私が病院で目を覚まして以降、秀一は人前には出ていないかもしれない。
病院で姿を見たのは、私が目を覚ましたあの時、個室に二人きりでいたときだけだった。退院までの手続きの時、スマホで連絡は取りあっていたけれど彼は傍にはいなかった。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年5月13日 17時