自信過剰な彼氏3 ページ31
「部屋の中にあった緑色のものを三つ、言えますか?」
「え?」
流れる景色を見ながら黙り込んでしまった私に、唐突に昴さんがそう聞いた。
「あなたの瞳の色、大きなお皿の淵の色、あとは――観葉植物?」
質問の意図がわからず昴さんを見上げると、くしゃっと大きな掌が私の頭を撫でた。
ああ、その撫で方は秀一と一緒だ。
赤信号で車が止まる。見上げた先に彼が、意図的に開いた瞳の色は、秀一と同じペリドットの宝石を思わせるような美しい緑色。
心臓がどきんとときめきの音を立てて跳ねる。
「人間は普段、意識している情報しか集めないようにできているんですよ。ボウヤみたいな例外は別として。きっと今あの家に帰れば、Aさんは緑色のばかり探してしまうでしょう。
Aさんが『二人の相違点』を探しているから、そればっかり見えてしまうのではないでしょうか。類似点に注目すれば、別人ではないとわかるはずです」
「――そうかな。
そんなわかりやすい隙なんて作ってくれるような優しい人じゃないでしょう?」
昴さんは信号が変わったと同時に車を走らせる。
瞳はもう、細められていてその色を確認するのも難しい。
「心外ですね。世界で一番優しく接しているつもりなのですが。
足りませんでしたか?」
声に色気を含ませるのはずるい。
私の右手にキスを落とすのも、ずるい。
――彼に敵うわけがない。
「十分すぎるほど優しいです」
他に言葉が出てこない。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年5月13日 17時