自信過剰な彼氏1 ページ29
「せっかくの警護体制を邪魔しても悪いので、外で待たせていただきました」
美術館から外に出ると、沖矢昴さんが待っていた。
「きゃあ、昴さんー−❤ 中に入ってくれてよかったのにー!」
園子さんは、怪盗キッドの話をしていた時と全く同じテンションで挨拶している。
「いいえ、ご迷惑をおかけするわけにはいきませんから」
沖矢昴は、眼鏡の似合う、目が細く人好きのする笑顔を浮かべた好青年だ。
物腰は柔らかで、その口調も至って丁寧。
これが、赤井秀一と同一人物だって言われて『はいそうですか、わかりました。そうじゃないかと思っていたんです』って言える人が世の中にどのくらいいるっていうのかしら。目が細いからわかりづらいけれど、瞳の色からして、違うのでは――?
少なくとも私には無理だ。別人としか思えない。
服の趣味、口調、声、性格まで私には違って見える。
でも、私の手を強くつかんで離さないコナン君だけは別かもしれない。
何の迷いもなく私を、昴さんのところまでエスコートしてくれた。
「お待たせしました、お姫様」
手を取って一礼してくれるその様子は間違いなく王子様だ。ちょっと、ドキドキして倒れそう。
「さっきメールした通りなんだけど、見てくれた?」
コナン君が小声で昴さんに聞く。
「ええ、確認していますよ。驚きました」
2人のやり取りの真の意味は、仮に声が聞こえたとしても周りの人には伝わらないだろう。
――私が入院に至った原因をコナン君はいち早く昴さんに連絡してくれていたんだ――
コナン君の仕事の速さに驚いた。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年5月13日 17時