まさかの大誤算 ページ2
藤ヶ谷主任は
私より2つ年上の、イケメンで仕事もできるのに、それを鼻にかけずどの社員にも平等に優しいという、まさに絵に書いたような王子様である
会社には藤ヶ谷主任ファンクラブというものが存在するほどの人気ぶりだった
かくいう私も、その藤ヶ谷主任に恋してるうちの一人で、私なんか釣り合わないって分かってても諦められないまま早2年が経過している
でも、このまま私の気持ちを知らせずに藤ヶ谷主任の記憶から消えるのは嫌だった
藤ヶ谷主任ほど仕事ができる人なら、いつ栄転があるか分からないし、そうなったらただの部下の1人である私なんて記憶の片隅にも残らないだろう
それなら、いっそ玉砕して迷惑だと思われても藤ヶ谷主任の記憶に残っていたかった
そう思って去年もお菓子を手作りしたものの、まさかの藤ヶ谷主任の急な出張で渡すタイミングを逃してしまっていた
藤ヶ谷主任のお誕生日や、クリスマスにデートに誘ったりするのはハードルが高すぎて全ての告白イベントと呼ばれるものをスルーしてきた
つまり、私にはもう今年のバレンタインしかないのだ
手作り練習の成果もあってなかなか素敵なお菓子が作れたと思う
メイクも髪型も服装だってバッチリにして、あとは渡すだけ!だったのに…
「ごめん、俺甘いもの苦手なんだ
せっかくだけど、これは貰えないな」
朝1番にチョコをもってきた女子社員に、藤ヶ谷主任が受け取りを断ってるところを目撃してしまった
会社到着して早々、先を越された!とか思ってる場合じゃなかった
甘いもの苦手だったなんて…
旅行先のお土産で買ってきたヨーロッパの甘めのチョコは嬉しそうにもらってたし、
何より藤ヶ谷主任の親友、横尾さんが
「太輔は甘いもの大好きだよ」
って言ってたのに…!!
これは大誤算だ
私が作ってきたのはザッハトルテ
濃厚チョコレートの代表格お菓子
今年のバレンタイン大作戦も失敗かも…
107人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時:2021年2月15日 0時