0006 junki ページ6
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prrrr.....
風呂上がり。髪も乾かさずベッドに寝転んだ俺は、鳴り響くスマホを手にとって通話ボタンを押した。
「もしもし？」
「純喜ごめん、今いい？」
はるかの声は、いつもより少し掠れていて。まるで泣いた後のようで、思わず小声になってしまう。
「どうしたん、なんかあった？」
「ちょっと…会って話せるかな。公園にいるんだけど。」
「おっけ。10分くらいで行けるし待ってて。」
電話を切って、服を着て。髪を乾かそうと思ったけど、こんな夜に女子ひとり公園に待たせるのはまずいと思い直してそのまま家を出た。
ブランコに座る後ろ姿。小学生の頃よりもはるかに大きくなったのに、何故か変わらないその姿に思わず笑ってしまう。
ゆっくり近付いて、あの頃のようにワッと後ろから驚かす。驚いて振り返ったはるかの顔を見て、すぐに自分の行動を後悔した。
「なに、泣いてんねん。」
「…私さ、人として最低なんだよね。」
冷蔵庫から持ってきた缶ジュースを渡して隣のブランコに座ると、はるかはゆっくり話し始める。
「景瑚、って。Aのこと好きなの。」
「…あぁ、うん。らしいな。」
一か月に景瑚から聞いたばかりの告白。俺の中で消化し切れていなかったけど、消化したフリをしていたこと。はるかは知っていたんだと思い、気まずくてジュースの栓を開けた。
「分かってたのに、」
はるかが何をしたのか、何が言いたいのか、わからない。ただ、言葉に出来なくなるほど泣いて、何かを悔やむ様子のはるかに、それ以上の言葉を求めることが出来なかった。
「Aの気持ちも、知らないのに、」
「こんなことしたってきっと意味なんかないのに、」
ブランコの前に立ち、泣きじゃくるはるかを抱きしめる。数年一緒に居ても、こんなに泣いて、喚いて、弱々しいはるかを俺は知らなかった。
「とりあえず泣け。そっから、話聞いたるから。」
分からへん、けど。
守らなきゃ、そばに居なきゃ、誰かに傷つけられてほしくない、傷つくようなことはしてほしくない。
この気持ちをきっと、恋と呼ぶんだろう。
to be continued....
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作者名：マツ子 | 作成日時：2022年10月1日 1時
