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「あれ、純喜とはるかじゃない？」
待ち合わせた景瑚と、新鮮な朝。並んで歩いていると前方からジャージ姿で走ってくる2人が見えて、私たちは手を振った。
「おはよー！ちょ、2人とも待ってて！」
遅刻ギリギリの2人が慌てて家に帰って行く姿に笑いながら頷いて、私たちはその場で立ち止まった。
「手、繋いでたね。」
「カップルだもんな。」
「…つなぐ？」
「つなぐ。すぐつなぐ。」
うんうんと頷いて何の恥じらいもなく指を絡めた景瑚に、顔が熱くなるのを感じながらその手をぎゅっと握った。
「夢じゃないよね、これ」
「まだ言ってる」
あの日から何度も繰り返される夢みたいという言葉。景瑚にとって私と恋人になることがどれほど大きな事実なんだと実感して、すごく愛おしくなる。
「お待たせ！…え、え？」
先に出てきた純喜が、息を荒くしながら目を見開いて私たちの繋がれた手と顔を交互に見る。
「夢じゃないよ純喜くん！」
「まじか！うわ、おめでとう！」
口を大きく開けて笑う、自分のことのように喜ぶ純喜。その後ろから走ってきたはるかが、そのままの勢いで私に飛び付いた。
「A〜！おめでとう〜！」
「ありがと、はるかのお陰だよ。」
はるかが背中を押してくれなければ、どうなっていたか分からない。自分の気持ちを伝えることが出来たのは、はるかのお陰だと思う。
はるかだけじゃない。
「幸せそうでいいな〜」
どこから来たのか、瑠姫先輩が私たちの横に並んでそう呟く。言葉とは反対に、優しい笑顔で私を見た。
「景瑚に飽きたら俺と遊ぼうね。」
「ちょっと瑠姫くん、やめて！もう諦めて！」
「諦めてるけどチャンスが来たら分からんぞ。」
「チャンスなんてあげまっせーん」
不意に後ろから感じた温もり。首元にある景瑚の腕をギュッと握りながら、思わず上がってしまう口角を押さえる。
「瑠姫先輩、また遊びましょ」
「２人で？」
「んー、それは…景瑚の許可があれば？」
「許可なんかしないから！だめだから！」
登校時間ギリギリだった私たちは少しだけ早足で、５人並んで、歩き始める。隣には大好きな幼馴染みがいて、反対には大好きな恋人と先輩が居て。
「ずっとこのまま、みんなで居ようね。」
ずっと、4人一緒に。
今では、瑠姫先輩も同じくらい大切な人。
春が終わって、夏になっても。冬が来ても、歳が変わっても。
巡って行く季節を、いつまでも、大切な人と過ごせますように。
seasons end . ?
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作者名：マツ子 | 作成日時：2022年10月1日 1時
