0015 you ページ15
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「はるかと俺、付き合うことになった。」
教室の前。並んだ純喜とはるかに呼ばれた私と景瑚は、はにかんだ純喜と照れたように笑うはるかからそんな報告を聞いた。
ちゃんとまっすぐに気持ちを伝えられないまま、終わった。
何を言おうか、どう伝えようか、そんな事を考えているうちに、私の恋は砕け散った。
「良かったね、純喜くん。」
「この前ごめんな、景瑚。」
「俺こそごめん。…はるかも、おめでと。」
「ん、ありがとう。」
何も言えないで2人を見つめる私。ふと目が合ったはるかは、私をぎゅっと抱き締めた。
「A、最近あまり話せなくてごめん。」
「…んーん、大丈夫。」
「これからもずっと、仲良くしようね。」
「うん、もちろん。おめでと、」
抱き締めてくれて、助かった。きっと私はうまく笑えていないし、気を抜けばまた涙が溢れてしまいそうだったから。
いつか、2人を祝福出来る日が来るのだろうか。
こんなに大きな純喜への想いが、消える日が来るのだろうか。
「なんて言うか…これからはなるべく、はるかと2人で会ったりしたいなって思うんやけど。」
「俺らは俺らで仲良しこよしするからいいよな、A！」
景瑚はおちゃらけて私と肩を組む。ねー、なんて私の顔を覗き込むその顔は、眉を下げて少しだけ心配そうだった。
こうなってしまったのだから、せめて、2人を傷付けないようにしないと。気持ちを伝えられなかっただけで、いつかはこうなる事、考えていなかったわけじゃない。
「そうだね景瑚。2人で仲良くやろーね。」
今できる精一杯の笑顔で、私も景瑚の肩に腕を回す。純喜とはるかの方に目を向けて、なるべく平静を装って。
「幼馴染みであることは変わらないから、またみんなでも遊ぼうね」
私は笑って、2人にそう言った。
「ありがとう、A。景瑚。…お前らほんま最高やな！」
純喜も笑って、私たちの髪をわしゃわしゃと掻き回す。
「ちょっと純喜声でかい！はずかしい！」
はるかも笑って、純喜の口を手で隠して、
「はるかも声でかいですけどー！はずかしー！」
景瑚も笑って、口に手を当てながら茶化して。
これでいい。これで、全て解決するんだ。関係が変わったって、誰よりも近くにいて、別れが来ない関係を続けられる。
望んだ結末。私が欲しかった結末。
それでもひどく痛んで苦しいこの気持ちを、溶かしてくれるのは誰だろう。
to be continued ...
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作者名：マツ子 | 作成日時：2022年10月1日 1時
