0016 ruki ページ16
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「え、純喜とはるかちゃんが？」
「純喜から聞いてないんですね。」
「いや全然。あいつ最近上の空で、俺なんて視界に入ってたかも謎だし。」
あれっきり、デートにも誘えず、LINEもなかなか返信が来なくて焦っていたけど、そう言うことか。幼馴染みの一大事だったんだから、俺なんて後回しになっても仕方ない。それに今、こうして、俺に電話をくれている。それだけで幸せだ。
「じゃあ、これから2人とはあまり会えないの？」
「そうですね、邪魔しちゃ悪いし…」
「瑠姫先輩が遊んであげてもいいけどな〜？」
「そうしたら、景瑚がひとりになっちゃいますもん」
案に受け流されたデートの誘い。それでも声色に笑みが含まれていることが分かるから、俺も引き下がらずに済む。
「俺はAちゃんと2人がいい。」
僅かに、うっと困るような声が聞こえた。
「瑠姫先輩、女慣れしてるでしょ。」
「してないよ。」
「うそ、だって言い慣れてなきゃ言えないですよ！」
なぜか小声になったAちゃんは、きっと照れているんだろう。そう言う一面も見せてくれるようになって、俺の心は更に高揚した。
なんでこんな可愛い子を、あいつらは好きにならなかったんだよ。
「まぁ、今回は３人でもいいよ。」
「…ほんとですか？」
「うん。景瑚も寂しいだろうしね。」
やった、と喜ぶAちゃんに、おやすみと言葉をかけて通話を切る。幸せな気持ちのまま部屋の電気を消して布団に潜ってすぐ、我に返って飛び起きる。
待てよ、これって今、俺めっちゃチャンスだったりしない？
純喜とはるかちゃんは2人で過ごすことが増えて、必然的に景瑚とAちゃんが2人になるけど、景瑚は俺の気持ちを知っているわけだし。
そう考えたらいてもたっても居られず、時間など気にせずに景瑚に電話をかけた。
「なにー瑠姫くん！俺寝るとこ！」
「おい景瑚、純喜とはるかちゃん付き合ったらしいな？」
「なになに、誰に聞いたの。」
「Aちゃんだよ。それでさ、」
俺に協力して欲しいんだけど。
そう言おうとした俺の言葉を、「待って」と景瑚は遮って、4人の中で縺れていた理由を話し始めた。
純喜ははるかちゃんが好きで、はるかちゃんは景瑚が好きで、景瑚はAちゃんが好きだったこと。そして、Aちゃんは純喜が好きだったこと。
「今は、Aの傷が癒えるのを待って欲しい。」
その言葉に、俺は何も言えず、電話を切った。
to be continued ...
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作者名：マツ子 | 作成日時：2022年10月1日 1時
