第三十八話 ページ7
Aside
帰りなって言われたけど…………
(ココドコ)
誰かに聞こうにも、まず人がいないし、自分の住所も言えないから。
(致命的＿＿＿)
そのうえここがどこかもわからないから帰り道もわからない
門を出てすぐの柱にもたれ掛かる。偶然先生が通りかからないかな。
通りかかるわけないもんな
「はぁ……」
深いため息。
的場＿＿あの人は、あそこでいったい何をしていたんだろう。もしかして、本当に妖の血を集めていたのかな
(疲れた＿＿)
そのままズルズルと座り込む。
(早く、夏目に会いたいなぁ……あの家に、帰りたいなぁ)
塔子さんは、心配してくれるだろうか。滋さんは、お父さんのように、叱ってくれるだろうか。
夏目は、もう一度抱き締めてくれるだろうか。
赫良は…………………………………
赫良がいればなぁ…家までひとっとびなのに。
早く帰りたい。お腹空いた
でもものすごく眠くて、立ち上がれない…
寝るときは、いつも夏目がいたのになぁ…
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
的場side
七「的場」
的「なんです？」
仕事の途中に七瀬が入ってきた。仕事の量は膨大で、いちいち構っていられる暇はないため、手を止めることはない
七「あの子、結局どこの家からの指図で？」
あの子＿きっと七瀬が言っているのは朝方に捕まえてきた人のことでしょう
的「それが、一向に吐きませんでした。そのうえ、的場を知らないと言うんです」
七「へぇ、そんな見え透いた嘘を。信じたのですか？」
的「まさか。信じるわけがないでしょう」
七「ではなぜ放したんです？使えたでしょう。アレは。」
確かに。アレは使える材料だ。術で従わせるなりなんなりすれば善かったんですが
的「まぁ、いいんですよ。とりあえずはね。それに彼女は面白い」
思いだし、口元が緩む
そう、彼女は単なる阿呆なのか。とっさについた嘘なのかどちらかはわからないが、“式は妖がなるもの”だと知らないと言った
全く、可笑しな人だ。
七「はぁ………」
私に聞こえるよう、業とらしくため息をつく七瀬
七「そんな甘いようじゃいけませんよ。はぁ……」
もう一度深いため息をつく
的「ため息を二度もつくほど疲れているなら、今日は休んだほうがいいのでは？」
七「はぁ……全く誰のせいだか……ではお言葉に甘えて、今日はもう休ませていただきます」
そういって下がろうとする七瀬を引き留める。一つ、気になることが残ったままだ
的「彼女のことを調べあげておいてください。弱みなら尚更。」
笑顔でそう頼めば、気だるそうにしながらも、“わかった”と答え、下がっていった
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穴(プロフ) - ゆきさん» 初めまして！コメント、ありがとーございますっ。面白いっていっていただけて嬉しいです。更新がんばります！ (2020年8月17日 20時) (
レス) id: 53fc0a995b (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - はじめまして！最近読み始めたんですけど、とてもおもしろくて一気に読んでしまいました！これからも更新頑張ってください！楽しみにしてます！ (2020年8月17日 18時) (レス) id: 479321255e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：穴 | 作成日時：2020年8月16日 13時
