第三十六話 ページ5
Aside
的「はははっ!!!貴女、面白いですねぇ」
「は?」
何が可笑しいのか、急に笑い始めた的場さん。
けどそのつぎには、何かを取り出すような布の擦れる音がして、私はなにもしていないのに、手首の縄が揺れ。サクッと縄の切れるような音。
そして、手首が縄から解放される
試しにてを動かしてみると、自由に動かすことができた
(どうして急に……?)
的「…今日のところはまぁ良いでしょう。私にもこの後予定がありますし。特にこちらに害をなしたわけでもありませんしね。
今回は見逃してやりましょう。
ほら、たちなさい」
とりあえず言われた通り立ち上がる
思わず、有難うございますと感謝を述べそうになるところを、グッと押さえる。だって私はなにも悪いことしてないわけで、むしろ的場側が加害者だ。解放されて当たり前なのだから
だが目は見えないままで、自分が今どちらを向いているのか、そもそも出口が全くわからないままだ。ぶつかるかもしれないのに
的「何を止まってるんです。早くしなさい。………あぁ、目が見えないんでしたね」
いや、目が見えないんでしたねじゃなくて早く術を解いてください
心の中で悪態をつく
的「ほら、そのまままっすぐ前に進みなさい。言うとおりに歩けば大丈夫ですので。あぁ、良いと言うまでですよ」
何だか操られてるみたいで少し嫌だけど。目が見えないから仕方がない。
言われた通り、まっすぐ進む。
恐る恐る。
一歩二歩三歩四歩五歩……あれ?
この部屋、こんなに広かったっけ
「あの、出口はまだでヴッ……いったぁ」
ごちんっ!!!と勢いよく進んでいたせいで派手な音がなり、頭蓋骨に響く。
何やら柱か何かの角に頭を思いきりぶつけたせいだ。というより、ものすごく痛いぃ
(良いって言われたっけ?…言われてないよね?あれ?もしかして自分がよくきいていなかった?)
するとクスクスと少し押さえるような笑い声
「お前__」
的「あー……貴女は面白いですね。真面目に言うことをきくからですよ」
「はっ?!」
面白いですね。じゃないでしょう!!第一目が見えないのだってこの男のせいで!真面目に言うことをきくからって、それ普通でしょう!だって見えないんだもん!
的「仕方ないですね。ほら、早くいきますよ」
そう言うと、グッと手首を捕まれ、少し小走りで引っ張られる。その手はゴツゴツしててとても冷たい。夏目とは大違いだ。
というより、仕方がないですね。って……
この人、何だかいちいち腹が立つ
(あぁーあ…今頃夏目たち、また心配してるだろうなぁ……)
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穴(プロフ) - ゆきさん» 初めまして!コメント、ありがとーございますっ。面白いっていっていただけて嬉しいです。更新がんばります! (2020年8月17日 20時) (レス) id: 53fc0a995b (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - はじめまして!最近読み始めたんですけど、とてもおもしろくて一気に読んでしまいました!これからも更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2020年8月17日 18時) (レス) id: 479321255e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:穴 | 作成日時:2020年8月16日 13時