第四十六話 ページ15
Aside
女「ふふ、強欲な的場が気に入りそうな妖を、わざわざ探しだしてやったんだ……ここにおびき寄せてやろうと思ってね。あいつがたどり着いたそのとき、目覚めさて食わせてやるのさ」
式を、喰われる
それが一体、この女の人に、どれ程の悲しみや憎しみを与えたのか、分からない。実際に体験してない私には、想像でしか、その苦しみを理解できない
でも、そうだとしても、多くの関係のない、妖たちを巻き込むのは、間違っている
その痛みを知らないから言えることかもしれない。でも私は、間違っていると思う。
「そんなのは、間違ってますっ_」
もっと違う方法なら。的場さんに非があるのは確かだけど、もっと違う方法なら。
女「分かってもらわなくて結構。的場ももうじきここへ来るだろう。しかしまだ、血が足りないのだ。貰うぞ」
その声と同時に、後ろでかさかさと人工の妖の動く気配
(もうこの人は、止まらないのかな…)
何か、立ち止まるきっかけがあれば……いや、無いのかもしれない。そんなもの
あまり戦う気はなかったけど、状況が状況だし、夏目を危ない目に遭わせるわけにはいかない
仕方なく、角のある石ころを拾って握る。これだけでも十分武器になると言うことを私は知っている。あとはそのまま顔を殴れば__
「散れ」
力任せに顔を殴り付ける。そうすると妖は黒い影となりざあぁと、消え、顔の紙切れだけが残った
隣では夏目と先生が、名取さんに庇われるような形で対峙している
女「ふふ、まだまだいるぞ」
女が妖しく笑う
ゆらりゆらりと、また妖が作られていく
(このままだときりがない)
そう思ったのは先生も同じようで、夏目の腕をすり抜け、どろんっと瞬く間に斑の姿へと早変わりし、がぶりと妖達を噛みちぎっていく
斑「ふん、こんな影人形など一掃してくれるわ」
そう言い二匹の妖を喰らおうとした瞬間!
トトッ.と二本の矢がその妖達の息の根を止めた。途端、ざあぁと消えていく
(この矢は?__)
どこから飛んできたのかと辺りを見回すと、穴の入口の方から飛んできた一本の矢。
それは私の目の前を通りすぎ___
夏「先生!…………ヴッ……」
そんな声がして、どさりと倒れるような音。その矢は、ニャンコ先生に向かって放たれたのだった。それを庇うように夏目が………
(夏目が……………)
「夏目っ」
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穴(プロフ) - ゆきさん» 初めまして!コメント、ありがとーございますっ。面白いっていっていただけて嬉しいです。更新がんばります! (2020年8月17日 20時) (レス) id: 53fc0a995b (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - はじめまして!最近読み始めたんですけど、とてもおもしろくて一気に読んでしまいました!これからも更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2020年8月17日 18時) (レス) id: 479321255e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:穴 | 作成日時:2020年8月16日 13時