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第四十三話 ページ12

Aside

名「………………………………」

少し先を進んでいた名取さんは、立ち止まると、そのまま黙りこくってしまった

名「その問いに答える前に、少しいいかい?どうしてそう思ったのかな?理由はあるのかい?」

「………夏目は、大切なやつなんです。……だから、夏目の、あんな顔は、好きじゃないし、みたくない。…ずっと、笑っていてほしいんです…私が強くなって、夏目を。怖いものや、辛いものから救ってやれるなら、笑顔が守ってやれるなら…強くなりたい。って思ったんです………」

夏目のあの傷ついたような顔を見るたび、胸が締め付けられてたまらない。

だからある意味、自分のためでもある。話し終えると、名取さんはこちらを振り返り、口を開いた

名「そうか……君は、優しい子だね。守りたいなんて、男らしいなぁ……でも、お金を稼いで一人で生きていきたいのは、どうして?君には塔子さん達や夏目がいるだろう」

「………あの家も、塔子さんも、滋さんも、夏目も好き。だって、こんな私を受け入れて、優しくしてくれるんだ」

きっと、醜くて汚い私を。
親に捨てられてしまうような、可愛そうな私を。

名「じゃあもうして?」

「………何も、持ち込みたくないんです。あの家に…ずっと幸せでいてほしい。夏目と私も、見えてしまうから、どうしたって知らず知らずのうちに、何か悪いものを持ち込んでるかもしれない…そしてら、どうしよう……って。それで、嫌われて、捨てられたら、どうしよう……って」

本当は、怖いんだ。恐いだけなんだ。この幸せが私が見えるせいで、壊れて、嫌われて、また捨てられてしまうのが。

昔の私は分からなかったけど、今は分かる。捨てられる前に、自分が離れてしまえばいいんだって。

「それに、私がいなけりゃ、その分厄介事だって減る。そもそも、私のいてい居場所じゃないんだ。ただの居候のくせして、早く出ていかなきゃなんです…」

名「そうか……。Aちゃんの、気持ちは……分かったよ…強くなりたいんだったら、いくらでも方法はあるし、俺は、協力してあげられるよ」

そういって、笑ってくれて、少しほっとした

名「けどね、家のことは、話し合うべきだと思うよ。お金を稼ぐのも、学生だから、地道にバイトするしかないし……

でもね、早く出ていかなきゃなんて思う必要は、きっとどこにもないよ。あそこは、君は知らないかもしれないけど、確かに、君の居場所だ」

「でも__」

名「__君がどうしてもというんなら、考えてあげなくもないよ」

「え?」

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(プロフ) - ゆきさん» 初めまして!コメント、ありがとーございますっ。面白いっていっていただけて嬉しいです。更新がんばります! (2020年8月17日 20時) (レス) id: 53fc0a995b (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - はじめまして!最近読み始めたんですけど、とてもおもしろくて一気に読んでしまいました!これからも更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2020年8月17日 18時) (レス) id: 479321255e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年8月16日 13時

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