【REBORN!】振り返ったら (ページ10)

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七話ページ10

何かの文字の羅列が光りながらもAを囲む。
その様子に、ルミナスも観覧席にいる者もただ茫然と見ているだけだった。

光が徐々に無くなっていく。
元の真っ暗な部屋に戻ると、Aともう一人、小柄な少女が傍らにいた。

『…エリス』

「やっと呼んでくれたわね、名前をカタカナで。」

ゆる巻きの長い金髪。まるで海を閉じ込めたかのような碧眼。
赤いドレスに赤いリボンを頭に付けた、エリスと呼ばれたその少女は微笑んだ。

「一体誰だ？」「なんで子供が」「彼奴は部外者じゃないのか」
一気に観覧席が騒めき立つ。

「否、彼女は部外者ではありません。故に試合は続行いたします」

チェルベッロがそう言うものの、結局少女の正体は言わなかった為周りの者は不服らしい。
しかし、此処で乱闘などしてしまえば自身のリングが相手に渡ってしまう事を危惧したらしく、それ以上特に何も言わなかった。

・

フィールド内では、先程の会話が聞こえていた為、
ルミナスがエリスについて触れることはなかった。

『…なんで…貴女が…』

エリスを見つめて泣きそうになっているAに「話は後でするわ」と返し、
暗闇の中でエリスは敵であるルミナスを見る。

「…今日の敵は彼奴ね。」

『えぇ』

泣いている場合ではないと涙を拭うA。
色々聞きたいことはあるが、目の前の敵を殺すのみ。

『(でも、私は殺せない。なら、いや、ダメだ)』

「いいのよ、名前をカタカナで。其の為に私は来たんだもの！」

約束がAの首を絞める。ならばと、自分で手に掛けなければいい話と思い付き止める。
その作戦は、エリスにルミナスを殺してもらう事だった。
確かに自分で手を下した訳ではないが、そんな理由でエリスに殺しをさせるのは、
如何なものかと、違う作戦を考えようと悩んでいた時、エリスに考えを読まれてしまう。

もっと明るい場所でエリスを見ることができたなら、
きっと愛らしい笑みを浮かべていることだろう。

長年一緒にいたエリスには如何も逆らえない。
彼女の言うことはAにとって絶対でもあった。

それでもAは悩んでいたが、やっと覚悟が決まったのか、

『＿＿＿＿敵を殲滅せよ、エリス』

か細く紡いだ言葉はエリスにちゃんと伝わった。

「任せて」

エリスは浮遊し素早く敵の方へと飛んでいく。
向かう最中に、武器である巨大な注射器を召喚しながら。