【REBORN!】振り返ったら (ページ1)

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序章ページ1

「もう、新たな異能力者が産まれない世界にしたい！！」

その男、中島敦は叫んだ。

＿＿＿話は少し戻る。

ヨコハマのどこかに封印されているという、
現実を改変して書いたことが真実となる白紙の文学書。

其れを世界征服に使った異能組織がいた。
手始めに本の力で探偵社を世界的に悪者とし、ポートマフィアの戦力を削いだ。

世間は皆、口を揃えて「探偵社は悪だ」と云い、
外を歩けば命を狙われる。
幾ら探偵社と言えども、世界中の人間相手では手も足も出ない。
各々で逃げるしか無かったのだ。

そんな中でも、探偵社は諦めなかった。
探偵社の頭脳である江戸川乱歩が、バラバラになった社員を自ら探し集めたのだ。

江戸川乱歩の作戦でポートマフィアと協力し、ボロボロになりながらも闘い…
やっと、黒幕を倒すことができたのだ。

＿＿＿＿そんな激闘から数日後のポートマフィアの一室にて。

探偵社、ポートマフィア、異能特務課の主要人物が集まっていた。
主に異能力者ばかりが揃うこの場で話す議題は、
先日の闘いで黒幕から入手した白紙の文学書のことである。

数多の組織が今まで狙ってきたこの本をこれからどうするのかを話し合っていた。
燃やすのか、封印するのか、それとも＿＿＿利用するのか。

そんな中、おずおずと手を挙げる一人の青年がいた。

「この本で異能力を無くすことって、できるんですか…？」

その発言で今までざわついていた部屋が静まり返り、
皆が青年の方に視線を向ける。

「＿＿＿＿できる。何、君自分の異能力を消したいの？」

キッパリと質問に答えた江戸川乱歩が逆に青年に問う。
問われた青年は「え、えっと…」と慌てふためき乍らも続ける。

「…異能力のせいで傷ついた人を沢山見てきました。其れと同時に助けられた人も。
其れを無くしてしまうなんて僕にはできません。
でも、これから生まれてくる人が異能力を持ったことで、
僕みたいに辛い思いをして欲しくない。

もう、新たな異能力者が生まれない世界にしたい！！！」

そう語る青年＿＿中島敦は最初のようなおどおどした喋り方ではなく、
凛とした口調へと変わっていた。

「あ、いやぁ…できれば今すぐにでも消したい所はやまやまですが、
今すぐ消してしまったら世界中の異能組織が困ってしまいますし、
　それぐらいならできるかなぁ、と…思いまして…あはは。」

先程の威勢は何処へ行ったのか。
勢いを無くした言葉は、徐々に尻すぼみになっていく。