マッチングアプリ。【オリオンの刻印】 (ページ20)

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「いやじゃない？」

わざと聞いた

私に引っ付かれて嫌な男なんていないと思うけどね

「え！そ、それはもちろん

嫌じゃないよ、だってこんなに可愛い子に寄りかかられて…」

完全に照れてる。

さっきまでの余裕の笑みは何処へ？って感じ

「えーありがとうね」

私は酔っているから自然と顔もたぶんとろんとしているし、目も潤んでる。

視線を下に向けて、彼の肩に頭を預ける

すると、さっとしろうくんに手を握られた。

「え……」

「しばらくこのままでいい？」

顔を上げると、しろうくんは男の顔になっていた

「うん、いいよ」

…ああ、もうこれはスイッチ入りかけてる？

このあと、もっと二人っきりになれる場所に多分連れていかれるのだろう

どうしようっかな

そんなことを考えていると顎を掴まれた

「……ごめん」

「え？」

そしてこの一瞬の隙にしろうくんは自分の唇と私の唇を重ねてきた。

キスされてる……？

ぱっと顔を離されて、きょとんとした顔でしろうくんを見つめた。

「可愛かったから、つい……」

顔を真っ赤にして、そっぽをむくしろうくん

「え、そんな！キスされたの久々かも…」

そんなことを言う、でもこれはマジ

「そ、そうなの…？」

これでもキスは本当に久々、数か月前アプリでデートした人以来

「うん、だから久々すぎてちょっとびっくりしちゃった」

「ごめん！嫌じゃなかった…？」

「うん、全然だよ」

そう言ってしろうくんの手をぎゅっと握り返す。

するとしろうくんは、ぎゅっと手を握ってこう言った。

「このあとさ、まだ時間ある…？」

ああ、やっぱりワンチャンを狙ってる

「え？どうして…？」

「もうちょっと二人になれる場所に行きたいなって」

正統派に見えて、けっこうグイグイ来る

意外だった

この流れでたいていの女性は行くだろう

しかもこんなイケメンに誘われて、NOとは言えないはず

でも私はあえて帰る

「あ、ごめんね、実はちょっと今日実家に帰る予定で…

今日はここで解散でもいい？また今度行きたいな」

でも次のチャンスはちゃんと与える。

しろうくんはきょとんとした顔をしている

ここで着いて行ったら、完全になめられる

事後のあと解散して、連絡をそのまま続けてくれる人も稀にいるかもだけど…

連絡が切る男がほとんど

しろうくんはどっちかはわからないけどね

でも私は絶対に着いて行かない