マッチングアプリ。【オリオンの刻印】 (ページ12)

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「もしもし…」

そう言うと声がした。

「もしもし、きささんですか？」

「はい！きさです。本名はAって言うんですけど」

「Aさんですね、Aちゃんって呼んでも大丈夫ですか？」

声までもかっこいい…！！

ちょっと低くて落ち着いている声。

名前を呼ばれてついどきっとしてしまう

「は、はい！私はゆうまくんでも大丈夫ですか？」

「大丈夫ですよ。年齢って今年25歳ですか？」

「そうですね、まだ誕生日来てなくて。ゆうまくんは？」

「なら同い年ですね。嬉しいです。」

「えー！嬉しいですね、同い年の人あんまりいないから…」

とんとんと会話が弾む

すごい話しやすい。コミュ力が凄い

それからお互いの学生時代のエピソードや趣味などの話をしてだいぶ打ち解けた。

徐々に敬語も自然と抜けて、笑い声も飛び交うようになった。

「ほんと楽しいよ話してて。こんなに気が合うなんて」

「うん、ほんとに…」

つい今日すずとみた光景を思い出した。

「ちなみに今日は何して過ごしてたの？」

ゆうまくんは正直に言うんだろうか。

「あー、今日はね実はアプリの子と会ってて」

正直に言ってくれるとは思わなかった。つい間が空いてしまう。

「……そうだったんだ！どうだった？」

「そうだね、話は盛り上がったけど会って楽しかったな～くらいだね
Aちゃんは今日何してたの？」

ちょっとその言葉に安心してしまう自分がいた。

「そっかそっか。今日は友達とカフェに行ってたよ！インスタで流行ってたところで」

「いいなあ、楽しそうだね。インスタやってるの？」

「うん！やってるよ。ゆうまくんもやってる？」

「僕はやってるよ、よかったらあとで交換しない？」

え、やばい

「いいの！？交換したい！」

「もちろん。

…じゃあ、今日はここで通話終わる？明日またたくさん話したいな」

時計を見ればもう話し始めて2時間も経っていた。

「ほんとだめっちゃ話しちゃってた
うん！明日また話そう。インスタあとで送っておくね」

「ありがとう。今日は楽しかったよ！また明日。気を付けてきてね」

「うん！こちらこそありがとう。ゆうまくんもね」

「あはは、ありがとう。それじゃあ、おやすみ」

「おやすみなさい！」

そっと通話を切った。

「やっと会える…！」

楽しみでいっぱいで、今日見た光景はいつの間にか忘れていた。