女王様、烏を飼う

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繋「正直言うとな、Aにコーチを頼んだのは半分はお前のためだ。」


影「！」



驚いて目を見開く影山








繋「お前は全国の強豪でも通用する優秀なセッターだ。俺はセッター経験がねえし、お前に教えられることはあまり多くない。だがこいつは違う。」


『まあトスは烏養コーチより上手いと思うよ。…いたっ』

後ろからちょっかいをかけると踵で向う脛を蹴られた



繋「引退はしたが今でもこいつより上手いセッターは日本にいるか？」

影「いません。」




『いや、そんなことない。男子なら普通にたくさんいるよ。』

影「いいえ。男子でも空井選手よりトス回しが上手いセッターはいません。」




照れて目をそらしていたのが別人かと思うほど真っ直ぐにAを見つめる影山









繋「だからあと数カ月、少しでも多くAから技術を盗るんだ。よく見て、聞いて、学べ。」


影「はい！」









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『盗む、か。』





コートに戻る背中を見ながらつぶやく


『どうりで目が行くわけだ。まさかお手本にされてたなんてね。』




繋「可愛いだろ？あんなに慕われたら。」




『そーだね、まあ。』


繋「なんだよ。」







足元に転がるボールを拾い

久しぶりの感触を味わうようにクルクルと回し爪を立てる




現役時代にサーブ前にやっていたルーティンだ









『セッターなんて、型にはまったら終わりだけど。』



繋「…ッ」








2階席で初めて影山たちを見た時のように特徴的な赤い瞳が光る


Aに獲物を見据えた猛獣のような恐怖を一瞬だけ感じ、背筋が凍る








『楽しみだねぇ。どんなセッターになるか。』









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