小さな恋敵 �� ページ43
：
「はい。買ってきた。」
『ありが―、…。』
Aさんに叱られて渋々起き上がった恵
不貞腐れて本を読んでいる後ろでこっそりと
今度はちゃんと口にキスしてビニール袋を渡す
お礼を言いながら中身を確認すると
アイスの下にあるものを見付けて
黙ってキッチンに向かったAさんの後ろを付いて行く
「僕の予定では今頃それが活躍してたんだけど。」
『私の予定では必要なかった。』
「……そういうこと？」
『違う。』
「あ"、ちょっと…、」
アイスと一緒にビニール袋ごと冷凍庫に入れられてしまい、
凍ってしまわないよう中身を取り出す
一瞬でも恵に見せたら出禁、と言われ
とりあえず子どもの届かない食器棚の上の一番奥に置いた
あいつは僕よりもこの家に詳しくて
その上何をしても自由だから
下手に寝室や引き出しに隠したら見付けられかねない
Aさんは恵に甘いし、
恵もAさんには子猫みたいにベッタリ甘える
本当に厄介で仕方ない
「恵、いつまでいるの？」
『さあ。津美紀が友達の家から帰って来るくらいには帰らせるつもりだけど。』
「それ何時？」
『18時くらい。』
「僕22時から大阪で任務。19時までしかこっちにいられないんだけど。」
『まだ11時だよ。』
「…、」
『？』
ただでさえ少ない時間の中で
2人で過ごせるのはたった1時間
溜め息を吐きながら落ち込んでいると
僕がどれほど今日を待ち望んでいたかも知らないで
しれっとした顔で言い放つ悪魔みたいな可愛い天使
他の女なら何よりも僕を優先するし
少しでも長く一緒に居たいとねだってくる
でもAさんは
恋人である僕にも淡白で、少しも干渉してこない
余所見なんてする隙もないくらい
Aさんのモノになりたいのに
ちゃんと掴んでいて欲しいと差し出した手さえも
微笑むばかりで握ってはくれない
それがいつも
もどかしくて仕方がない
『どうしたの？』
「…別に。」
愛されてないわけじゃない事は分かってる
なんで恵を可愛がってるかも知ってるし、
今の状況も理解している
でも少し、欲張ってしまう
僕が貴女なしでは生きていけないように、
Aさんにもそうなって欲しい
『悟？』
「なに。」
『早く会いたかったよ。』
「…っ、…もう、…ほんとに卑怯。……僕もだよ。ばか。」
またそうやって単純な言葉で簡単に
僕を夢中にさせる綺麗な悪魔
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縞(プロフ) - ゆきえもんさん» ご指摘ありがとうございました。修正しておきます。 (2021年1月28日 16時) (
レス) id: c197e34fed (このIDを非表示/違反報告)
ゆきえもん - 33､34に使われている『役不足』は「能力に対して役が不足している」という意味なので『力不足』か造語ではありますが『役者不足』の方が合うと思います(後者は誤用だとツッコまれるかもしれませんが…)。とても好みの作品なのでこれからも応援しています。 (2021年1月27日 23時) (レス) id: eb1315ed8d (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ* - 初コメ失礼いたします。 チューベローズの続編が見たいです。大きくなった恵君との絡みや他のキャラとの絡みが見てみたいです。 (2020年5月17日 19時) (レス) id: cd2ef48f8b (このIDを非表示/違反報告)
tama(プロフ) - 初コメ失礼します。チューベローズの初恋の続編を見てみたいです！よろしくお願いします。 (2020年5月17日 10時) (レス) id: 2503e394d8 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - 初コメ失礼します。しにたがり姫の方も好きで続編を是非見たいのですが、チューベローズの大きくなった恵などを見てみたいです！よろしくお願いします！ (2020年5月17日 8時) (レス) id: 58d70e644d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：縞 | 作成日時：2020年4月24日 15時
