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『……またここに来るとは思ってなかった。』
「もう僕の家だけどね。」
12月7日
予想外の再会からもう4カ月も経ち
以前とは状況もかなり変わった
私は今も埼玉で恵と津美紀の近くに住んでいる
恵は悟と何か話し合い、
将来高専に入学するという条件で
高専からは金銭援助を
禪院家とのしがらみは御三家の力で悟が白紙にした
『ほんとにこんなので良いの?』
「うん。こんな日じゃないと、こっち来てくれないでしょ。」
明日は誕生日だから、
こっちで一緒に過ごしてほしいと言われ
プレゼントを用意する暇もないまま
仕事終わりにわざわざ迎えに来てくれた彼に付いて来た
まさか今もこの家に住んでいるなんて、
内装も間取りも何も変わっていない
変わったのは彼の匂いがすることだけ
『ごめん、自分から言わせて。来年はちゃんとお祝いするから。』
誕生日を祝うどころか
誕生日すら昨日まで知らなかった
今日は罪悪感でいっぱいで、仕事も儘ならなかった
「ほんとに考えらんない。ここに居る間は遠慮なく甘えるから。覚悟してて。」
『…ハイ。』
荷物を下ろすとさっそく後ろから腰に腕を回し
肩に顎を乗せて体を密着させる悟
振り返ると綺麗な空色の瞳に捕まえられて逸らせなくなる
「せっかくまた恋人同士になったのに、2人とも仕事で忙しいし。会いに行っても恵と津美紀ちゃんばっかり。全然僕に構ってくれないし、そろそろ限界だったんだよね。」
『…っ』
耳元で甘く意地悪に囁きながら
ゆっくり上着のジッパーを下げる
恋人に戻ってそれなりの時間が経った
ただでさえ忙しくて会う機会は少ないうえに
毎回私のせいで途中で終わってしまう
その度に不貞腐れていたのも知っていたが
ちゃんと相手に出来ず放って置いた付けが回ったみたい
「嫌がるなら今のうちだよ?少しくらいなら、加減できるかも。」
『…嫌がんないよ。もう遅いし。』
どうせ何を言っても離す気ないでしょ、と付け足せば
喉を鳴らして笑って次はシャツのボタンに手がかかる
慣れた手つきで1個ずつゆっくり外す指がやたらと色っぽい
いつの間に、こんなに大人になったんだろう
「他の男のこと考えたら許さないから。」
『そっちこそ。聞いたよ。私が居ない間に綺麗なお姉さんにいっぱい可愛がってもらったんでしょ?』
「…、」
『傷付いたなぁ』
「待って。違うの。あれはね。ちょ、聞いて?」
『…。』
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縞(プロフ) - ゆきえもんさん» ご指摘ありがとうございました。修正しておきます。 (2021年1月28日 16時) (レス) id: c197e34fed (このIDを非表示/違反報告)
ゆきえもん - 33、34に使われている『役不足』は「能力に対して役が不足している」という意味なので『力不足』か造語ではありますが『役者不足』の方が合うと思います(後者は誤用だとツッコまれるかもしれませんが…)。とても好みの作品なのでこれからも応援しています。 (2021年1月27日 23時) (レス) id: eb1315ed8d (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ* - 初コメ失礼いたします。 チューベローズの続編が見たいです。大きくなった恵君との絡みや他のキャラとの絡みが見てみたいです。 (2020年5月17日 19時) (レス) id: cd2ef48f8b (このIDを非表示/違反報告)
tama(プロフ) - 初コメ失礼します。チューベローズの初恋の続編を見てみたいです!よろしくお願いします。 (2020年5月17日 10時) (レス) id: 2503e394d8 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - 初コメ失礼します。しにたがり姫の方も好きで続編を是非見たいのですが、チューベローズの大きくなった恵などを見てみたいです!よろしくお願いします! (2020年5月17日 8時) (レス) id: 58d70e644d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:縞 | 作成日時:2020年4月24日 15時