チューベローズの初恋 続【呪術廻戦】

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「Aさんが住んでたとこって、ここら辺なの？」

『そうだよ。もう少し東に行ったら家がある。5年ぶりに来たけど、あんまり変わってない。』





駅の方へタクシーで向かいながら
街の風景を眺めているAさんに声をかけると
指を指しながら色々と教えてくれた


どんどん遠ざかっていく街を
懐かみながらも少し悲しそうな表情で見つめている









『なんとなく…、悟には全部見せたかったの。嫌じゃなかった？』

「全然。むしろ嬉しかった。」









『墓参りデートだよ？』

「…まあ確かに、デートならもっと雰囲気ある方がいいけど。」





仕事中の運転手さんに遠慮して
控えめに額にキスして手を繋ぐと
少し驚いて僕を見上げる可愛らしい顔に頬が緩む








「好きな人の秘密を知れるのは嬉しいでしょ。辛い事なら尚更。」

『…そうかなぁ、』





「Aさんは男心が分かってないね。」

『……。』






どこか納得出来ず、不満そうにそっぽ向くくせに
体は僕に寄り掛かって甘える仕草が益々可愛らしい


あんなに嫌なことも辛いことも顔に出さないで
自分の事を話さないAさんが
わざわざ無理して金沢まで来て
僕に自分の過去も、家族のことも全部教えてくれた


本当は自惚れてしまいそうになるほど、嬉しくて堪らない









『このまま東京帰るの？』


「帰らないよ。」








『…え？』


「着替え買いたいから、どっか寄ってから帰ろう。」









『…ホテルに泊まるんだよね？』


「なんでだよ。」









『うちは無理だよ。恵も津美紀もいるし、明日仕事ある。』


「僕は明日休み。家で留守番してるから平気だよ。恵とはもう少し話がしたいし、丁度いい。」









『…。』


「嬉しいくせに。」






何か言いたそうだが諦めて
また窓の外に視線を向けるAさん

相変わらず押しに弱いとこは変わらない









『……嬉しい、けど。』


「…え。」









『…。』


「いつからそんなに可愛くなったの。Aさん。」

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