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「……先、輩…?」

『なあに。』





「先輩、」

『どうしたの、五条君。』






「A先輩。」

『……ちゃんと、生きてるよ。』









とても驚いた顔で何度も呼ぶから、
近づいてくる彼に手を伸ばして白く輝く髪に触れた

サングラスを取って真っ直ぐに目を見つめ
もう大丈夫、と呟けば彼の胸の中へ、腕に優しく包まれた








「…先輩が、死ぬかと思って、……俺も死にそうだった。」


『…ごめん。助けてくれて、ありがとう。』









朦朧とする意識の中でも感じた優しい暖かさが蘇る

一瞬だけ意識が戻った時、私は五条君に抱えられ、
五条君は私を追手から守りながら森の中を駆けていた
血が止まらない傷口を
手と制服が汚れるのも気に留めず、押さえてくれていた



ただの餌となった私に
助けなんて来ないと思っていた

まさか君が来るなんて、思いもしていなかった









「誰か居たね。何があった?」


『…切り替えはや。』







もう少し感動の場面が続くと思っていたが
首元の傷に気が付いたのか、体を離し
人差し指を私の顎に当て、顔を上に向かせて赤い線を観察する五条君
耳の後ろの赤い痕も見付けたのか小さく舌打ちが聞こえてくる

視線を周囲に移して
床にあったナイフもすぐに見つけ出した







「誰かいたよね。俺が気付かなかったってことは、非術師?」


『ただの”術師殺し”だよ。キスしたら帰ってくれた。』









「はあ?」


『怒んないでよ。仕方ないでしょ、ボロボロなんだから。』








あからさまに不機嫌に、鋭くなった視線をサングラスで隠し、
もう少し離れようと腰を動かすが力のこもった彼の腕に阻まれる

顔は相変わらず怒ったままで、
ベッドに上がって長い足の間に私を座らせる









「じゃあ俺にもして。」


『嫌だよ。』







「ふらっと入ってきた男にはするのに、先輩を助けるためにあんなに頑張った俺は何でしてもらえないの?」


『…大丈夫?匂いに()てられてない?』






まだ鼻は利かないので分からないが
外はもう暗く、私の匂いもきっと強くなっている

こんなに近くにいる彼は大丈夫だろうか、








「今すぐ押し倒してやりたいけど?」








案の定、かなり無理をしている五条君に思わず笑ってしまう

どうせ夜蛾先生辺りに私の天与呪縛についても聞いているのだろう
それなら、今の彼には[ 縛り ]が発生しているはずだ




『大丈夫じゃないね。離れよっか。』

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(プロフ) - 凄い面白いです!休校中の楽しみですねもう。更新応援してます! (2020年4月13日 10時) (レス) id: b1b211da94 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年4月11日 13時

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