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「松田、……俺あの時」
「いい、言うな」
「いや、言わなきゃいけねェ。
本当は死ぬかもしれないって分かってた、巴があんな目してたんだ、本当は覚悟の上だったんだ」
確かにあんな強い覚悟をした目を見ちまったらもういいえとは言えないだろう、最初にわかったと彼女に言ってしまったのは俺だった。
「萩原」
「俺迎えに行かないと」
「外がどんな状況かわかってんだろ?
こんな状態で、しかもサツが」
「…………」
「戻ってくる、絶対だ」
俺はこっちに賭ける、お前は、と聞くと勿論生きてる方でと返された。
「こんな状態で明日は来るのかね」
老人。
「ままぁ、サンタさんくる?」
まだ幼い子供。
「本当に帰れるの??」
母親。
困惑状態だった一般人は静まることは無かったが、テレビや携帯から視線を逸らすことは絶対にしなかった。
「松田、巴、大丈夫だよな?」
目の前の彼は俺に縋るように……確認し直すようにもう一度尋ねた、俺は重い頭を二回縦に降った。
確証は無かった、そこに言葉はなかった。
積まれる死体と泣く人達。
置いていった人と置いていかれた人。
けれどそこには、確かに目に見えない強固な繋がりがあった、絆なんて言う様なものじゃなくて、もっと違う。
希望があった。
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久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - 517さん» 517様、閲覧及びコメントありがとうございます!長かったでしょう(苦笑)そう言って頂けるととてもありがたいです。更新は停滞気味ですが気長に待って頂けると嬉しいです! (2021年3月31日 22時) (レス) id: 6e12f91009 (このIDを非表示/違反報告)
517(プロフ) - とっても面白くて最新話まで一気に読み進めちゃいました! (2021年3月31日 1時) (レス) id: a380db26d5 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - はい。楽しみにしてます。 (2020年10月17日 8時) (レス) id: 2b9098a683 (このIDを非表示/違反報告)
久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - ひかりさん» 閲覧及びコメントありがとうございます!SCPご存知の方中々いらっしゃらないですよね……。SCPで何か書けたらいいなぁと思っています(笑)改めて、ありがとうございました! (2020年10月16日 23時) (レス) id: 6e12f91009 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - こんなところでSCPを嗜んでいる人に出逢えるとは思ってもいなかった (2020年10月16日 22時) (レス) id: 2b9098a683 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:久坂朧@三色団子と朧は神 | 作成日時:2020年3月31日 9時