華を契る 【名探偵コナン】

249 説教 ページ9

side貴方


この世界の人間は皆、鋭い。


そう思ったのはやっぱりこの世界に来てからと言うもので、少しは慣れていたが、彼処まで的確に質問されると動揺してしまうのは以前からである。


「もー、だから巴ちゃんもっと食べなきゃ大きくならないだろー？」


少し焦げてしまった甘い卵焼きを頬張りながらそう告げる彼が、真逆“私”の育った場所を的確に答えるなんて予想だにしなかった。


「いいじゃあないですか、もう充分食べました」


「巴ちゃん敬語」


「…………」


少なくとも、此奴本当は私の素性知ってんじゃないの？と問いただしたくなるくらいには、だ。


松田氏は私達の姿をじぃっと見つめたまま何も言わない、ただむぐむぐと白飯を頬張っていた。


「たく、巴ちゃんアメリカで何食べてたんだよ」


「量が食べれないので其処らで買うよりかは殆ど自炊でしたよ」


「敬語。


その生活心配で仕方ないな」


「私は至って真面な生活してきた心算……」


あのなぁ、と呆れた様に呟く彼は1年前と同じ姿だった、かれこれ5年近く一緒に居たが彼の姿は変わることは無かった、これがアニメクオリティなのだろうか。


「そんなことより、萩さんもう直ぐ三十路でしょ。


いい人見つけないと婚期逃すんじゃない？」


「別にいいもん、男の婚期は長いから」


うわっムカつく、此奴やっぱり私の正体知ってて言っているのだろうか、私が30歳に突入したことを知ってて言っているんじゃあないだろうか。


ええ、ええ、そうですよ分かっています、私もう結婚出来ないことくらい知ってましたから。


皿を洗いながら口を窄める、もう1人の死期が着々と進んでいることを感じながら水を止めた。

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