華を契る 【名探偵コナン】

250 想定 ページ10

＊







伊達さん(伊達氏だと呼びにくいからそう呼ぶことにした)を助けるに当たって致命的なのが2つ、1つは、季節が冬ということ以外全く分からないことだった。


ただ1年前と、そう原作には記載されているだけであり、時間も、場所さえも全くの不明、これでは助けようが無い。


最悪場所は探せば如何にかなるとして、と仮に話を進めたとしても、致命的な問題はもう1つの方だった。


原作を大幅に変えてしまう点だ。


「鳥山さん、こりゃ緊急事態っすわ」


「…………」


とあるホテルの一室、結構厚めのコートのフードを深く被りながらアンパンを食べている私はそう相棒に話し掛けていた。


鳥山さんからは『何やってんだ此奴』と思っている視線を浴びせられるが、彼も菓子パンは好きなので啄んで食べていた。


状況が何とも既視感(デジャヴ)を感じさせるが、2回目の生だ、偶には巫山戯たくもなる。


そう、私達は何とか、上記の如く場所を周辺の監視カメラの映像から特定し、1番近くのホテルで張り込んでいるのだ。


原作通りに進んでいるのならば、未だ若い2人はこのホテルの窓から見える場所に車を止めて張り込む話が発生する筈なのだ。


「ぽー」


「いやね、命を選別するとは言わないけどさ、原作変わったら他の話が進まない可能性があるだろー？」


「…………クルルル」


確か何処かの話で伊達さんが殉職したことに関しての事件が起こる筈だ、確か高木刑事と佐藤刑事がくっつく話。


では伊達さんを助けた場合は如何なるのか、と言えばただ一言、その話諸共消えてしまうだろう。


よって私達がしなければならないのは、伊達さんの救出と、その後をじっくり考え、出来るだけ話を変えないように動くことだった。

251 無理→←249 説教

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す