きっとまた逢える 4 (ページ34)

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147 今日で最後ページ34

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「合格おめでとう」

「ありがとうございます」

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それっきり、お互いの言葉が続かない。

今日で、この時間が終わるから。

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私がテーブルの上のカップに手を伸ばしたら。

彼も同時に、同じように左手でソーサーを、右手でカップを手に取った。

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ふふっと二人で笑いあって紅茶を口に含むと、瑞々しい花の蜜のような香りが鼻に抜ける。

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「私、先生に借りてた問題集と参考書を返さなきゃ」

「いいよ。あげる」

「でも、また別の生徒さんに使うでしょう？それに、もう私は使わないし」

「そっか。笑」

「取って来ます」

「じゃあ俺も行くよ」

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キッチンで晩御飯の支度をするお母さんに部屋へ行くと告げて、先生と二人で二階へ上がる。

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「お母さん、なんだか張り切ってるね」

「先生が今日で最後だから」

「それもあるかもしれないけど、キミの合格のお祝いだからだよ」

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そんな会話を交わして部屋に入り、私は本棚から、彼に借りていた問題集と参考書を抜き出す。

それらを重ねて手にすると、それは思いの外ずっしりときて。

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ああ、本当に今日で最後なんだ、と思ったら、じわっと込み上げてくるものがあった。

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感傷に浸って、背中を向けたまま動かない私に。

背後から、先生が近付いてくる気配を感じた。

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「…もう、会えないのかな」

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私が振り向くと、彼は両手をポケットの中に入れて、ゆっくりと私との距離を詰める。

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「俺は…これからもキミと会いたいんだけど」

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少し首を傾げて。

私の気持ちを伺うように。

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彼は、小さな声でそう言った。