Story 10『 memory trace 』 ページ22
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”解ったように言わないで、うざいから”
暗い部屋に、煌々と光ったスマホの画面。
それを兄の目から離し、ぱたぱたと歩く。
部屋に入り際、兄はこっちを向いて言った。
「ひとつ、可愛い弟に教えてやろうぞ」
廊下の闇で、赤い瞳は僅かに嗤う。
「…、」
飽きれ半分でため息を吐いた。
結局この”兄”は何がしたいのか？
そんな想いが消え失せるほどの衝撃。
「あの嬢ちゃんに”飛び降りた”記憶なんざないぞい」
「…………？？」
頭がこんがらがった。
嗤ったまま、零は言った。
「”あれ”は繰り返している、としか記憶しておらん
自分がその繰り返しの原因となっておることしか
…自分がどう繰り返しておるか、あの嬢ちゃんは知らん」
慌てて前文を消し、新たな文字でその画面を埋め尽くす。
”じゃあ何で、俺は覚えてるの？
そして何で、覚えてないにも関わらずAは何度も同じ場所から飛び降りるわけ？”
その目は、逃げもせずまっすぐ見据えて
尚も嗤ったまま告げる。
何かを試しているかのように。
「…運命が、”シナリオ”がそうさせておるのじゃよ
お主が覚えておるのも、お主が見てしまった、ただそれだけのこと」
”……何で今、それを俺に言ったの”
じっと見つめると、零は表情ひとつ変えずに言った。
「何となく、じゃよ
それが現時点でのお主に、我輩が伝えられることじゃ」
すれ違い様に、元気な兄は愉快そうに嗤った。
目線だけはしっかりと、そらさずに。
「つまり
我輩ら”非演者”もまた、無意識的に”シナリオ”に縛られておる、ということじゃ」
それは、こう言っているようにも聞こえた。
────誰も”シナリオ”には抗えない。
記憶の断片が、またひとつ
美しい、鮮やかな実を付けた。
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まひる(プロフ) - 雪羅さん» ありがとうございます…！！妄想のままに描いているので賛否両論あると思いますが…(^-^; そういっていただけると嬉しいですー！(*´ω｀)ありがとうございます(*’ｰ’*)ﾉ (2019年10月13日 11時) (
レス) id: f98a768e19 (このIDを非表示/違反報告)
雪羅(プロフ) - 前からこの作品見続けています！繊細で綺麗な表現とか、儚い世界観とか、謎の多いキャラクターとか、すごく作り込まれていてまるでドラマを見ているようでした！これからも頑張ってください！ (2019年10月13日 9時) (レス) id: 227c03626a (このIDを非表示/違反報告)
まひる(プロフ) - ありまさん» ありがとうございます…！そういったコメント頂けると、嬉しいです(*^-^*) (2019年10月9日 22時) (レス) id: f98a768e19 (このIDを非表示/違反報告)
ありま(プロフ) - この作品の雰囲気がとても好きです。 (2019年10月9日 21時) (レス) id: ef20a5c3d2 (このIDを非表示/違反報告)
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