らずべりー。24 ページ24
____ Itaru ____
空は紅く。
時計の針は、5時を回っていた。
紅の、街の彩り。
冬なんてものは陽が暮れるのが早く
6時を回ればあっという間に暗くなる。
この紅が消えたら、空は真っ黒、夜空になる。
そりゃあ、当然の事だけど
20超したサラリーマンが夕暮れの空見上げて物思いに耽る
なんて、…どこの恥さらしか。
見る側も見られる側も恥ずかしくてしょうがない。
ただただ、…くだらない。
意味もない。しょうがない。変わらない。
歩く帰り路で、死んだ魚みたいに辺りに泳がせた視線。
特に意味もなく、辺りを見渡して
特に何も思わないまま、歩を進める
………つもりだった。
何でこういうブルーな時ばっか
それに更にトドメを刺すようなモノが
" たまたま " 、目に入るんだろう。
「 ……万里
……、A 」
歩いていた足は、止まった。
くそみたいに、簡単に。
足をそこに縛られたみたいに、動けなかった。
見慣れた姿の彼女に、万里。
手なんか繋いで、こんなとこで。
彼女は笑ってる。
ちゃんと楽しそうだった。
「 …＿＿＿ 」
思わず見入っていた。
そしたら不意に、万里と目があった
…気がした、だけかもしれない。
その瞬間、万里は彼女の手を掴んだまま立ち止まった。
何処かを見て。
最初は、気になる店でもあったのかと思った。
振り向いた彼女に、万里は何をしたか。
気付いたときには、凄い痛かった。
くそみたいに、泣きたくなってた。
結局は、俺はまだ、過去にすがり付いている。
よく見えた訳じゃない。
遠くだった。表情も見えない。
でも、近付いた、0に近い顔の距離は、
それを示すには充分じゃないか。
「 …あーーー…… 」
バカみたいだ。
いつもの外面はどうした。
所詮は俺も、こどもみたいに馬鹿だったのか
ほんの少し前にあったような気がした眼だけが
やけによく見えたような気がしていて。
バカみたいだった。
アホみたいだった。
くそみたいだった。
「 …なんなんだよ……
ほんと、馬鹿みたいじゃん、 」
寮に帰る頃には、きっとあいつらがいる。
どうやって平静を保つか。
どうやって、いつも通りを取り繕うか。
Title 24バカみたいな宵闇の、一瞬の衝撃は。
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