らずべりー。21 ページ21
____ Heroine ____
「 残り5秒、4、3、2、1… 」
「 待って！！1分ってそんなに早… 」
「 0。はいゲームオーバー 」
「 ああぁぁぁ………… 」
カウントダウンが0になった瞬間、テレビ画面には" You lose "と表示される。
あっという間に瞬殺されていた。
「 1分じゃ足りないよ… 」
「 じゃー3分？ 」
「 ムリに決まってるでしょ！！」
「 っはは、監督ちゃんマジじゃん 」
けらけらと目の前で、コントローラー片手に笑う万里くん。
楽しそうで何よりだけれども、ゲームにおいて、ハンデはくれるけど歯が立たない。
因みに、さっきのハンデは " 1分間攻撃しない "。
攻撃しない代わりに、コントローラーの凄い指さばきで、ひらひらと交わされ、攻撃は一回も当たることなく1分が終了。
まぁ、そんなものだ。
「 万里くんが強すぎなんだよー… 」
「 まー、至さんの相手してるもんなー。 」
けろっとした万里くんは突然、私の前に顔を出して
じいっ、と私を見つめた。
「 な、……なに……？ 」
「 ……… 」
正直、息が止まりそうだった。
間近な、綺麗に整った顔。
高校生とは思えない、大人びた雰囲気。
「 ……明日で、最後。 」
「 ………ぅえっ……？ 」
万里くんは、突然そう口にした。
「 楽しかった？俺と二人っきりの2日間。」
からかうように、万里くんは笑う。
するすると、万里くんの手は頬へ。
「 ……うっ、……うん、もちろん
楽しいよ、万里くんとお話とかするのは 」
「 ん。…そか。
楽しい時間ってめっちゃ早ぇんだよなー 」
そう、意味ありげに呟いた万里くんが
頬に触れながら口を開く。
「 監督ちゃん
明日で最後にすっからさ 」
万里くんにとって
私にとって
そして、その他の人にとって。
明日は、どんな日になるだろう。
「 だから、最後に
俺とデートして、監督ちゃん 」
近付けた顔は、最後。
唇に触れる寸前で、何事も無かったかのように離された。
「 明日、俺休講だから。
朝10時、駅前で 」
「 …へっ…、休講なんて聞いてな…… 」
「 終わったら、これも終わりな 」
だから、さ。
不意に笑った彼は、夜の闇へと溶けていった。
Title 21から紅の恋ごころ。
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