らずべりー。20 ページ20
____ Heroine ____
Aごめん遅くなっちゃって
A仕事終わったから、いいよ!
万里りょ
万里今行くわ
連絡を入れた約5分後、誰もいなくなった談話室に、万里くんは入ってきた。
「 お疲れ、監督ちゃん 」
「 うん、お疲れさま
本当にごめんね遅くなって…
紬さんの客演の所のお手伝いの仕事があって… 」
見れば、時計はもう既に10時を廻っていた。
まぁ、万里くんにとって10時はそう遅くない時間なのかもしれないが。
「 監督ちゃん、ちゃんと夕飯食った？ 」
「 えっ？…あー、えっと…
少し忙しくって…、夕飯は食べてないんだ 」
「 ちょい待ってて
何か作ってきてやっから 」
「 えっ、いいよ悪いし……
ゲーム約束してたでしょ？ 」
「 ゲームなんか、監督ちゃんと一緒にいるために作った口実だから気にすんな
飯は珈琲のついで。
ミルクと砂糖ちょいでい？ 」
「 あっ、うん、ありがとう…… 」
そういうと、万里くんはキッチンに立って何かを作り出す。
基本的に食事を作っているのは臣くんだから、他の人がキッチンに立つ姿はあまり見ない。
キッチンに立つ万里くんは、少し新鮮だった。
「 監督ちゃん、客演とこの舞台はどー？ 」
「 あ、あのね、その劇団なんだけど、女の子もいて…！
ウチはまぁ、太一くんとか幸くんが女役できるから困ってる訳じゃないけど…
やっぱり実際女の子がやるその、女役は凄く細部までできて凄いなぁって……！ 」
私の話を聞いている万里くんは、微笑んで
普段は絶対にしないであろう、優しい表情をしていた。
「 それで、物語が凄く感動する恋愛ストーリーで
最初に見ただけでも泣きそうになっちゃった！
紬さんも楽しそうだったし、あっちも皆優しい人達ばっかりなの！ 」
「 ん、そか
良かったな、監督ちゃん 」
目を細めて、微笑んだまま。
手にした珈琲をテーブルへと運ぶ。
更にのった、小さなサンドイッチ。
シンプルだけど、凄くお洒落だった。
「 うわぁ…、美味しそう… 」
「 卵サンドとハムレタス。
夜だし、消化のいいもんの方がいーだろ？ 」
.
今夜の万里くんは、いつも以上に優しい。
そんな気がした。
Title 20暖かな、夜のぬくもり。
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