らずべりー。18 ページ18
____ Kazunari ____
突然セッツァーが俺に繰り出した" 例え話 "は
酷くリアルな話だった。
セッツァー自身が証拠付けた。
例え話の登場人物に、彩を付けていく。
「 単純にいー人なんじゃん？ 」
「 ん、いー奴。
路頭に迷ってる奴誰でも、家に招き入れるよーな奴だから 」
「 …なら尚更、外野が口出す必要ないんじゃないかなー……って、俺自身は思う、かなん 」
きょと、としたセッツァーは、
意外そうに口を開いた。
「 何で？ 」
未だに、自分の意見を言うことは慣れない。
でも昔ほど、恥ずかしいとは思わなくなった。
「 ほら、優しいってことは、他人思いってことだから、その互いの事も考えて、すぐには無理でも仲直りできるんじゃないかな、ってさ 」
「 ………… 」
暫くセッツァーは黙って
俺が言ったことについて、懸命に考えてるようにも見えた。
「 ええとセッツァー…
例え恋バナ、もう終わり？ 」
セッツァーは、例え話なんかする質じゃない。
それは本人が良く分かってることだろう。
「 俺、今モーレツに本心暴きたい人がいるんすよ 」
「 はえ？？今度こそリアルな恋バナ？？
まさかカズナリミヨシ、遂に秘伝恋愛テクが役に立つ…！？」
「 いや違ぇーし 」
ふざけて笑って見せて。
「 俺は別に、さっきの話、それと言って答えはねーんすけど
どっちもそのままで、変わる必要はねーと思う。
強いて言うとしたらまぁ、自分の言いてぇ事くらい言ったらいーんじゃねーかって 」
セッツァーはきっと、誰よりも考えてる。
セッツァーの例え話が何処の誰だということは、深く探らないとして
何処の誰だとしても、それが大切な人なら、セッツァーはそうするんだろう。
「 セッツァーも優男だよねん
世話好き、ってゆーのとはちょっと違う気もするけど
セッツァーって思ったより純情でフツーの男子大学生って感じ。 」
「 は？どーゆー意味っすか… 」
「 いーのいーのん、知らなくて 」
くすと笑って、気付かないフリをした。
「 はぁ……？
まぁとにかく。
あの人の本心、ぜってー吐かせなきゃなんねーの 」
ほんの小さな優しさが、溶けて、消える。
「 がんばセッツァー、応援してるよん 」
Title 18スケッチブック、色付く人影。
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