らずべりー。11 ページ11
____ Tuzuru ____
「 今日、万里と監督近くないか 」
そう言ったのは、誰だったか。
「 言われてみれば……そう、かも?」
「 万里許さない 」
「 お前はまず落ち着け 」
もとあと言えば、話を繰り出した
隣の至さんは気にせず黙々と朝御飯を食べていた、ようにも見えたけど
まぁ、内心はそうでもない。
意外とこの人の中にあるモノはアツい。
それは、最近知ったこと。
「 至さん
今日も仕事ですか?」
「 まーね
何処ぞのクソ上司……っと、上司様が突然予算変えなければこんなことにはならなかったんだけど…、 ごちそーさま 」
そう、いつも通り上司の文句を振り撒いたあと
食器片手に万里と監督のいるキッチンに向かう。
至さんと監督の関係を知っている奴は、意外と多くない。
けれど、少なくもない。
シトロンは意味不明だけど、意外と鋭い。
万里はきっと知っていた。
恐らく幸、そして左京さん、臣さん、東さん辺りは知っているだろう。
天然組の太一や十座、天馬、咲也は言うまでもなく
一番恐ろしいのはミステリアス組。
何処まで知っているのかがわからない。
三角や密さんが主な例。
とにかく、皆そわそわとしていた。
至さんが、少しおかしいことに気付いていたから
「 監督さん、俺行くから
万里、監督さんに迷惑かけすぎるなよ 」
「 あ、…いってらっしゃい至さん、 」
「 俺そんなガキじゃねーし…
いってら、至さん 」
二人の関係は、普通だった。
監督と、劇団員。
でも、その裏で捻れ、絡まった関係はもう、戻らなかった。
「 …… 」
「 あ、今日他劇団の助っ人でちょっと出てきます…!」
わたわたと、咲也が動き出すのと筆頭に、
それぞれも動き出す。
変わらない、いつもの日常の中で
至さんだけが、狂っているような気がしていた。
「 ……、」
「 ツヅル 」
「 …おわっ 」
至さんが出てった扉を見つめていたら、背後からシトロンさん。
「 元気ないネ?
そんなときは回復アイテムを使うヨ!
これを使えばどんな疲れもオトトイキヤガレ!ダヨ! 」
「 考えてた事全部吹っ飛んだ… 」
それでも、気持ちは何故か、晴れなかった。
Title 11隠された、悲しみの感情
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