金髪不良少女のマスクを外そうとするやつが居ます 2【宮侑】

69.片耳 ページ31

いつもの公園です。


今日はイヤホンをつけて音楽を聴いています

横には野良猫。

『お前は毎日毎日、勉強も仕事もなにもせんで良いから、楽やな〜』


そうこぼせば猫は耳をピクリと動かし「こっちだって生きるために一生懸命なんだよ」とでも言いたげな顔でこちらをみる


なら誰かに拾ってもらえば良いのに、

でも、猫としては拾ってもらったら人生…いや、猫生？勝ち組やのに、拾ってもらいたくないって言う野良猫ならではの矛盾があるんかな



『お互い大変やな』


猫の顔をみて笑う。

猫は知るかと言った様子

生意気な猫やわ。


侑「やっぱりここおったわ」


『なんや、バレたか』


侑とは半同棲状態。侑は気が向いたらこっちへ来る。

今日は来んと思っとったのに


彼は耳につけたイヤホンを片方外し、自分の耳につける


侑「ラブソングかいな」


『悪いか』


フッフと笑いながら見てくる彼に少しイラつく

まるで、うちがこんなラブソングを聞くとは思っておらず可愛いな〜と思っているようだ



侑「いーや、Aちゃんもこういうの聞くんやな〜」


やっぱり。正解


『いいやん。中身が空っぽなやつより』


別にそれも嫌いちゃうけど



侑「うわ！猫おるやーん」


『やめて。その猫は人生の厳しさを教えてくれたから』

侑「なんやそれ」




スタｯと猫はベンチから降り、こちらに尻を向けてどこかへいってしまった。


侑「なんやあの猫！生意気な！」


『あんま猫虐めたあかんで。北さんが怒る』


侑「え、なんで北さん…」


『わかるやろ。さ、帰ろか』




────猫さん猫さん、大変ですね────



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