ブルーライトⅤ (ページ9)

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日頃の鬱憤を晴らすように、あたしはにこちゃんに最近あったことを簡潔に伝えた。高校でのバスケのこと、ともやんくんと撮影したこと、お陰でやまとくんと喧嘩したこと、その後のゆうたくんとの公園での出来事。
それをまとめて聞いた彼女は感心するように目を丸くしておかしな唸り声をあげる。

「短期間にめっちゃ青春してんね〜、若さの塊だ」

「青春って…にこちゃんだって若いですよ」

だとしても、これに関しては言葉足らずのすれ違いなので若さはあまり関係ないと思う。でも逆に若いが故にこうなったのかもしれないし、喧嘩を青春として見れるポジティブ先輩からの助言が欲しい。

「にこちゃんはどう思います？」

そう尋ねながらも、予約していた飲食店を見つけたあたしは先に店へ入る。

「どうって、難しい質問だなぁ」

そのあとを追ってにこちゃんも店内へ。予約したのが日本料理の店だからか、和食衣姿で出てきた女性の従業員に名前を伝えると「お待ちしていました」と奥の個室に案内された。

「あらら、なんか良いとこ予約してもらっちゃって」

スタッフからおしぼりを受け取った彼女はふざけた調子で言う。年上だけど子供みたいなにこちゃんに任せて適当に料理を注文して一息ついた。

「で、なんだっけかな」

店員さんが立ち去ったあと、畳んだおしぼりを机の上に置いた彼女が尋ねてくる。

「なんでやまとくんは怒ったんでしょうね」

「なんでだろう。やまとに聞いてみたら？」

「そんなもん簡単に聞けたらこんなに悩んでないですよ」

本当に、直接言えればこんなに悩んでない。それこそ、にこちゃんの言う通り"なんで？"って聞けりゃあ即座に解決するかもしれない。でもあからさまに自分が原因なのに、わざわざダメージ喰らいにいこうとは思わないのだ。

「うーん…うちはその場に居た訳じゃないし、やまとじゃないから分からないけどさ」

考えながら言葉を選ぶ彼女は、ぱらぱらとメニューを捲る手を止めて言った。

「理由がなんであれ、Aが仲直りしたいんなら話し合うべきだとは思う」

「でも、また喧嘩になりそうで…」

「別に喧嘩しても良いんだよ。話し合いって大変だけど、最終的には一番の近道なんだと思う」

「例えばどんなこと話せばいいですか？」

てかもう、にこちゃんが間を取り持って欲しい。いくら優しいとはいえ、やまとくんは怒ったら怖い。しかもあたしは彼にだけは絶対嫌われたくないと、表に出さないにしても何処かで強く思っている節がある。ある意味それが根本的な原因といっても過言ではないのかもしれない。