ブルーライトⅤ (ページ12)

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#212 ページ12

にこちゃんと解散したあと、あたしは興奮醒めやらない頭のままで家に帰った。そして、やまとくんとのLINEのトーク画面を開いては消す。開いては消す。ベッドの上でそれを繰り返して早くも一時間。会いたいですとただ一言メッセージを送るのに、ここまで時間を費やしたのは初めてだった。

「会いたいとか、普通にキモいかな」

付き合ってもないのに、そう呟いてはまた文章を考え直す。いつものあたしなら大事な話がしたいから会いたいと送れてたはずなのに、今回ばかりは色んな妄想をしては送るはずだったであろう言葉は何度も消去されていく。あたしは数週間前に途切れたばかりの彼とのやりとりを漠然と眺めた。前まで、この人にどうやって接していたんだろうと不思議に思う。

やまとくんおつかれ様

「えっ」

すると、何の前触れもなく彼からクラッカーを鳴らすみたいに突然メッセージが送られてきた。トーク画面を開いていたから、一瞬で既読がついたはずだ。焦って前の画面に戻ろうとするがもう遅い。続け様に送られてくる文章。

やまとくんこの間はごめんね。嫌な雰囲気のままにしちゃって悪かったなと思ってる

「…………」

まるでスマホを通した先に緊張した面持ちの彼が立っていて、そこから直接やまとくんに繋がっているように感じてあたしは切なくなる。そのメッセージを読んだあと、何を悩む訳もなく自然と指が伝えたいことを打ち込んでいた。

あたしこそ意地張って謝れなくてごめんなさい。良かったらまた家に遊びにきてください

会いたいと恐る恐る送信するよりも、もっと優しい気持ちで返事が出来た。そのお陰か強張っていた気持ちが緩やかにほどけていく。

ありがとう。また行くね😊

無機質なLINEのトークなのに、何故か互いにホッとしたのだなと絵文字を見て思った。

あとやまとくんに伝えたいことあるんです
いいよ、動画のこと?
動画じゃなくて、ドラマの出演が決まって
ほんとに?すごいね!

この事をやまとくんに真っ先に言いたくてと送ろうとしたが、流石にそれはやり過ぎかと身を引く。言ったら彼はどう思うんだろう。少し怖い。でもそれを伝えたくて、今にも走り出しそうなぐらい心臓はドキドキしていた。