sleepy 9 ページ10
「私が国見君の体調管理をすることになったって及川先輩から聞いてる？」
「一応聞きました。なんかすみません。俺のせいで迷惑かけて」
と国見君と話しながら足を進める。
「国見君のせいじゃないよ。」
それに、及川先輩だってアホじゃない。
何か考えがあっての提案だろう。
申し訳なさそうな顔をする国見君。
なんだか私まで申し訳なくなってきた、、、。
「不眠って聞いたけど、最近も眠れてないの？」
「そうですね、夜は眠れたとしても2時間くらいで目が覚めます。その後はなかなか眠れないんで、起きたまま学校に来るって感じですね」
どうやら国見君の状態は想像よりもずっと深刻そうだ。
2時間しか眠れていないとなると、部活だけでなく学校や私生活にも影響が出るだろう。
どうしたものか、、、
「色々勉強したりしたんだけどさ、今すぐに状態を解決するってなると難しい気がするんだよねぇ、、」
勉強して分かったが、不眠の原因も色々あるようで
原因が分からない場合も多いらしい。
そもそも頑張ったからって眠れるようになるわけでもないし
眠らなきゃと思えば思うほど眠れなくなるだろうし、、、
と国見君にどう話始めるか迷っていると
「あ、そうだ」
しばらくの沈黙の後、最初に口を開いたのは国見君だった。
「どうしたの？」
「A先輩のカーディガン、少し匂い嗅いでもいいですか」
と言い、足を止める国見君。
彼の行動に合わせるように私も足を止めた。
「え？カーディガンって今私が着てるこれ？」
と自分が着ているカーディガンの裾を引っ張り、国見君に見せる。
「そうです、いいですか？」
匂いを嗅ぎたいってなんだ、
え、もしかして臭かったりする？
いやでも一昨日洗ったし、、、
「い、、、いいけど、、、」
と戸惑いながらもカーディガンの袖口を伸ばし、腕を国見君に近づけた。
「すみません、じゃあ。」
といい腕の部分の匂いを嗅ぐ、、、、
のだと思っていたが、想像とは違い顔を私に近づけてくる国見君。
そのまま私の肩に顔をうずめた国見君は
すぅ〜
と鼻から軽く息を吸った。
匂いを嗅ぐってそこ？
自分で伸ばした腕を引っ込める。
国見君の髪の毛が私の顔にかかりそうで
思わず顔を反対側に背けた。
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作者名：ますだ | 作成日時：2023年10月25日 2時
