sleepy 18 ページ19
ドスン
という音と共に、お尻に軽く痛みが走る。
でも想像していた痛みよりもずっと軽い物だった。
なんでだ？と思い、ゆっくりと目を開けると
「いった、、、」
と国見君の声がすぐ近くで聞こえる。
「えっ」
周りを見てみると、私のすぐ後ろには国見君がいて、同じ方向を向いて床に座っている状態。
とここで国見君の事を下敷きにして自分が尻もちをついてしまったことに気が付いた。
国見君がかばってくれたのか
「ごめん国見君！大丈夫！？」
「俺は平気です。それよりA先輩、、、」
と国見君が何か言いかけ、そこで言葉が止まる。
もしかして怪我でもしたのか
「ごめん今退くから、、、」
と国見君の足の間から立ち上がろうとした時、後ろから国見君の腕が回ってきた。
驚いたのも束の間、そのまま国見君の腕は私の腰に回される。
「国見君？大丈夫？痛いの？」
体勢が体勢なだけあって、国見君の顔が見えない。
国見君からの返答はなく、そのまま私の背中に何かが触れた。
出来る限り体をねじり、背中の方を見てみると
国見君が私の背中に頭を預けていた。
「く、、、国見君？大丈夫？」
「このカーディガン、俺のですよね？」
国見君から帰ってきた言葉は、体調を示すものではなくカーディガンの事。
「そうだよ、国見君から借りてるやつ」
「ですよね、、、」
「ほ、本当に大丈夫？」
「大丈夫です、怪我はしてないんで」
とは言ったものの、国見君はこの体勢から動こうとしない。
「いい匂い」
どうしようかと迷っていると、国見君が不意に言葉を発した。
まさか
「、、、もしかして匂い嗅いでる？」
「はい」
いや、はいって、、、。
「なんで匂いなんか、、、」
「やっぱりなんか変に落ち着くんですよ、A先輩の匂い」
「それはもうわかったから、一旦離して、、」
「嫌です」
と私の言葉を遮り、即答で拒否してくる国見君。
とりあえず立ち上がろうとするも、国見君につかまっていて立ち上がれない。
不可抗力とはいえ、この体勢は良くないでしょ、、、
「国見君、怒るよ」
「別にいいですよ怒って」
そういう問題じゃないんだけどな、、
はぁ、仕方ない。
どうすることもできなくなった私は、体の力を抜いた。
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作者名：ますだ | 作成日時：2023年10月25日 2時
