sleepy 10 ページ11
国見君が私の肩に顔をうずめていた時間は、10秒程だろう。
だけどやたらと長く感じた。
満足したのか、私から体を離した国見君は。
「やっぱり」
と一言言葉を発した。
「やっぱりって？」
「柔軟剤の話です。A先輩、やっぱり昨日言ってた柔軟剤とは別のやつ使ってますよね」
と鼻をこすりながら聞いてくる国見君。
また柔軟剤の話？
「いや、昨日言った柔軟剤だよ。猫のイラストのピンクのやつ」
「本当ですか？」
「こんなことで嘘つかないよ、、、」
「マジか」といい遠くを見つめる国見君。
匂いの事と言い、柔軟剤の事と言い
会話の意図が読み取れない。
「何か柔軟剤で困った事でもあるの？」
これだけ柔軟剤の事を聞いてくるということは、何かあったのだろう。
「いや、別に大したことじゃないんですけど」
「うん」
「昨日、A先輩がカーディガンかけてくれたじゃないですか。俺が寝てた時に」
あぁ、あのときか
「うん、風邪ひいちゃうかなって思って」
「その時、やたらとよく眠れた気がしたんですよ。眠ってた時間は20分もなかったと思うんですけど。」
「え、あの時？そんなによく眠れたの？」
「はい」と言い眉間にしわを寄せる国見君。
「何かいつもと変わった事あったかなと思ったんですけど、変わった事といえば先輩にカーディガンかけてもらった事くらいで」
「あぁ、だから匂いのせいで眠りが深くなったんじゃないかって思ったってこと？」
「そうです」
なるほど、そういう事か。
でもこれはもしかしたらいい情報かもしれない。
確か勉強したときも、ネットに(特定の匂いを嗅ぐことで、眠りが深くなることがある)って書いてあった。
「じゃあその柔軟剤使って洗濯してみたらいいんじゃ、、」
と思いついたことを国見君に提案するも
「俺もそう思って昨日のうちに買いに行ったんですけど、どうも匂いがしっくりこなくて」
と真顔で腕を組む国見君
なるほど、だから私に何回も確認してきたのか。
でもなんでだろう、私が使っている柔軟剤は間違いなく猫のイラストが描かれているピンクの柔軟剤だ。
数年前からこれをずっと使っているし、匂いも混ざりようがない
「うーん、なんでだろうね、、」
せっかくいい解決策が見つかったと思ったのに。
「そこでお願いがあるんですけど、先輩のカーディガン、俺に少しの間貸しておいてくれませんか」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 394人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ますだ | 作成日時：2023年10月25日 2時
