【歌い手】僕は妹をレンタルします【まふまふ】

２９日目 ページ36

- mafumafu side -






「はぁ…どこにいるの」




音源の催促の電話を終えて戻ったら

Aちゃんがいなくなっていた。





辺りを見回しても

それっぽい子はいなくてどんどん人が増える。





携帯を持ってないから連絡のしようがないし

迷子センターに行ってみてもいなかった。





あー、こんなことなら離れなきゃよかった。






もし、誰かに連れ去られてたら…？

Aちゃん可愛いから有り得なく無いし…







いろんなお店を見て回ったけれど

どこにもいなくて時間だけが過ぎる。






Aちゃん、大丈夫かな。





そんな不安で頭が真っ白になっていると

スマホが着信音と共に震えた。






ディスプレイに表示された「天月くん」

こんな時になんだよ、なんて思いながら

通話ボタンを押した。






「も、もしもしっ」

『…もしもし、まふくん？』

「天月くん！今僕、忙しいんだけど…」

『うん。妹さん見つけたんだけど…』

「ええっ！？どうして…！？…とりあえずどこにいけばいい？」

『じゃあ○○広場で！』

「わ、わかった…」




どういうこと？




天月くんが見つけたってことは

Aちゃんは今、天月くんの所にいて




てことは、天月くんもここにいるってこと？




頭の中でぐるぐると思考を巡らせながら

言われた場所へと向かった。






誘拐じゃなかったことに安心して

さっきまでの焦りが消えたと思ったら

今度は早く会いたい気持ちが押し寄せてきた。





もう…これじゃ僕が迷子みたいじゃん。


Aちゃんのせいだからね？



なんて思いながら先を急いだ。




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