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…
目を覚ますと見慣れた天井が目の前に広がる。
頭が痛くて身体が怠くて体調は最悪だ。
「…えっ」
ふと横を見ると、ベッドに突っ伏して眠る乱数くんがいた。
確か一郎の家に行って、冷蔵庫にあった飲み物を適当に飲んだあとから記憶がないんだよなぁ。
乱数くんを起こさないように、枕元にあったバッグからスマホを取ると一件のメッセージが入っていた。
一郎から…?
『 もし記憶なかったらあれだから伝えとくけど、間違えて酒飲んで酔っ払った Aを乱数が送ってくれたってわけだよ。悪かったな。ゆっくり休めよ 』
昔から変わらない一郎の優しさ。
てか、この内容…
もしかして私やらかしちゃった?
乱「…ん、A 起きたの?」
「は、はい!おはようございます」
突然かけられた声に思わずびっくりして敬語になってしまった。
乱数 「…あは、A 変なのー!てか体調大丈夫?水飲む?」
「だ、大丈夫!!一郎からのメッセージで知ったんだけど、いろいろ迷惑かけちゃったみたいでごめんなさい…」
そう言うと、乱数くんは伸びをしながらいつもの笑顔を見せてくれた。
乱「ぜーんぜん迷惑なんかじゃないよー!Aが元に戻ってよかった!!じゃ、Aが元気になったところで僕もそろそろ帰ろっかな〜」
そう言って立ち上がった乱数くんにお礼を言いながら見送ると
「あ、そうだ…A」
乱数くんは振り返って私を見る。
そして
乱「Aのことは大切だと思ってるよ。…だけど、僕のことは好きになっちゃダメだよ」
… ____________
____________… え?
その言葉を告げ、乱数くんはまたいつもの笑顔を見せて部屋を後にした。
… なに、今の。
乱数くんがいつもの笑顔を見せる前に一瞬だけ見せた、儚げで寂しげ顔。
初めて見た彼のそんな表情のせいで、一瞬にして頭の中が真っ白になった ____________。
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作者名:ましろ | 作成日時:2019年7月7日 9時